東大卒の官僚出身候補

選挙戦をリードしていたのは玉城デニー陣営だった。自民党が水面下で複数回かけた情勢調査が出回ったが、8月に入ってもリードは現職に傾いていた。最大で10ポイント以上の差をつけ、2期8年の県政に対する評価はNHKの出口調査で「評価する」が62%に達したいたように高く、認知度でも古謝を圧倒的に上回った。

実際に全県型の選挙ならば勝てるという声は強かった、玉城陣営には「あっちはバラバラ。県民は古謝さんみたいなタイプを受け入れない」という楽観論が出ていた。那覇市で育ち副市長経験者ではあるが、県内随一の私立進学校から東大卒、さらに元総務官僚という肩書きも付く。地元エリートを知事候補に据えて自民を中心に各党が推薦を出すというのは典型的な「普通の県知事選挙」だ。

対して、玉城は駐留していた米兵と伊江島出身の母のあいだに生まれ、膵臓がんで任期中に亡くなった「翁長知事の遺志を引き継ぐ」という沖縄特有の物語を生きている。革新陣営が中核になってしまった「オール沖縄」の退潮は顕著だったが、だからこそ実績と個人的な人気を全面に打ち出すというわかりやすい戦略に振り切ることができた。しかし、リードは脆くも消え去ったどころか、大差の敗北を招いた。楽観論だけでは説明がつかないほどに広がったのだ。

雪崩を打った大きな要因は財界の結束と辺野古転覆事故にある。

古謝は財界が主導して擁立を決めた候補だった。今年1月には金城克也を委員長とする財界中心の選考委員会が、最終選考に残った4人を面接し、全会一致で古謝の推挙を決めた。

沖縄における「好調な経済」とは、行政と財界の歩調が合っている状態を意味する。大手企業はグループを抱え、グループで働く社員やその家族、関係企業にまで視野を広げればその数はかなりの現役世代と有権者を抱える。インフラを中心に整備が必要な土地、開発が必要な土地もあり、行政が方針を示すことの重要性はいまだに強い。

「批判は若者に響かない」
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