イラン「殲滅」発言も、今はただ虚しい
9月下旬、トランプは、よりによって国連の場で、イランを「殲滅」できると発言した。皮肉なことに、こうした言葉はむしろイラン側が好んで使ってきた類いのものだった。
トランプがこのような終末論的な言葉を口にするのも、自国が相手国と半年以上にわたって紛争を続け、最後には気まずい妥協を伴う交渉による決着を迫られるようになるまでは、まだ格好がつく。
その5日後、トランプは舌の根も乾かぬうちに「イランとの合意は成立するのか……それとも私がイランを殲滅し、さっさと終わらせるのか……イランが核兵器でどこかの都市を壊滅させるようなことになれば分かるだろう……イスラエルや中東の大部分だけの話ではない。われわれ自身が核兵器で攻撃されるところを想像してみればよい」と言い放った。
トランプが本気で「殲滅」という選択肢があると思っているのかどうかは分からない。自分は取引の天才であり、これも交渉を有利に進めるための駆け引きにすぎないと考えているのだろうか。あるいは、すべて承知のうえで、わざと皮肉めかして言っているだけなのかもしれない。
だが、そんなことは大した問題ではない。重要なのは、イランを含め、誰もが「殲滅」などという言葉に実質的な意味がないと分かっていることである。強力な政権が勢いを増している最中なら、こうした発言にも迫力は出る。
だが、2028年の「神々の黄昏」――トランプ政権の終幕へ向かっている時期となれば、話は別だ。
次のページ