世界はポスト・トランプを見据える

カーニーには、トランプ政権の終わりがそう遠くないことが分かっている。だからEUや中国との関係を深めようとしている。

一方のトランプは、自分が関税で脅しても世界の指導者たちがひれ伏そうとしないことに苛立ち、怒鳴り散らしている。

かつてのルーマニアの指導者、チャウシェスクを思わせる光景だ。終わりが現実のものとして想像できるようになった瞬間、すべてが変わる。それは民主国家であろうと独裁国家であろうと、政治家なら誰にでも起こることだ。

若い読者にはなじみがないかもしれないが、ニコラエ・チャウシェスクはルーマニアを支配した共産主義独裁者だ。その突然の失脚は、政治史上でも特に衝撃的な映像として残されている。

1989年12月21日、ブカレストの宮殿広場を見下ろすバルコニーに立ったチャウシェスクは、そこで初めて、群衆がもう自分の言葉に従っていないことに気付いた。24年もの間、周囲の人間が彼の恐ろしい気まぐれに何もかも従ってきた。

チャウシェスクの顔に浮かんだ表情は忘れ難い。自分に権力がないという事態そのものが、信じられないという顔だった。

そこから事態はあっという間にエスカレートした。その年のクリスマス、チャウシェスクは毛皮をまとった妻、エレナとともに兵士に銃殺された。

もちろん同じことが起きるという意味ではない。だが今後2年のどこかで、トランプも象徴的な意味で、これに相当する恐ろしい瞬間に直面するだろう。しかも、ますます大げさになる彼の言葉は、その時が来るのを早めるだけだ。世界は次第にトランプ本人ではなく、彼が去った後の世界を見るようになるからだ。

そうなれば、手当たり次第に敵を作り、容赦なく攻撃する彼の大言壮語も、次第に意味を失っていく。

イラン「殲滅」発言も、今はただ虚しい
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