10年以上たっても続く「いじめ後遺症」

 【女性 初診時20歳】小学校から周囲になじめず、内気な性格だったが、家では明るく読書好きな子どもだった。小学6年でクラスでバイ菌扱いされ、物を隠される、無視されるなどのいじめに遭い、その後不登校となった。中学に進学するも、彼女がいじめられていたことを知る小学校の同級生が同じクラスにいたため、再び同様のいじめが始まり、中学2年から不登校となった。そのまま中学は卒業となったが、家にひきこもりがちの生活となった。

 16歳時に、テレビでいじめ自殺のニュースを見てから突然不穏となり、家の中で暴れ、物に当たるなどの暴力を振るい、市販薬を大量服薬して精神科病院に医療保護入院となった。入院先の閉鎖病棟では身体拘束されるなどの処遇を受けたため、入院経験自体がトラウマとなり、退院後も入院させたと親を責め続けた。

 X年9月に私の外来を受診したが、自分をいじめた同級生に会うことを恐れてほとんど外出ができず、ひきこもった状態が続いていた。ときおり家の外から「自分をいじめた相手の声が聞こえる」と訴えてはフラッシュバックを起こして不穏になることを繰り返した。不眠や悪夢もしばしばみられた。たまに両親の仕事を手伝うこともあったが長続きせず、10年以上もひきこもり生活が続いている。(7〜8ページより)

まさに、いじめによるトラウマが長期にわたって人生に影響を及ぼす「いじめ後遺症」の一例である。だが、そうした経験をした児童や生徒の多くがひきこもってしまって声をあげられないため、「後遺症」の存在もまた「透明化」されてしまうことが多いようだ。

なぜ深刻な被害ほど「見えなくなる」のか
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