[東京 25日 ロイター] - 25日の東京市場で、米金利上昇や原油高を背景に国債先物が軟調に推移、現物市場の新発10年国債利回り(長期金利)は一時3.115%と1996年8月以来の高水準を付けた。市場関係者に見方を聞いた。
◎ベアスティープ化圧力、日銀先行き不透明感と米金利上昇で
<関西みらい銀行 ストラテジスト 石田武氏>
先週の日米中銀会合では、米連邦準備理事会(FRB)はタカ派利上げと受け止められ、市場に利上げ期待を残し、その結果イールドカーブはベア・フラット化した。一方、日銀はハト派利上げと受け止められ、先行きの利上げパスを示せず、イールドカーブはベア・スティープ化していた。
米国は底堅い経済指標や原油先物価格の上昇などを背景に市場では年内2回の利上げの織り込みが始まったことから、米長期金利は5.2%を超えるなど、フェーズが変わってきた印象だ。ただ、FRBが利上げを実施すれば、ビハインド・ザ・カーブ懸念が抑制され、金利上昇圧力も和らいでくとみている。
一方、日本は日銀の先行きの利上げパスの不透明感が残る中、米国も中間選挙の本格化や財政懸念がくすぶりやすい。米金利に上昇圧力がかかりやすく、足元はさらにベアスティープしやすい環境になっている。
長期金利は節目とみられていた3%を抜けたことで、市場参加者の買い手控えるムードが広がりやすい。日銀が仮に中立金利の上限である2.5%まで利上げを実施したとしても、ビハインド・ザ・カーブが意識される中は長短スプレッドが縮まりにくい。また長期金利のレンジが3―3.25%にレンジが切り上がる中、ロスカットの動きも出てくるだろう。このため、長期金利は3.5%を目指していく展開となるとみている。
◎米金利急騰・原油高止まりが主因
<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>
米国の金利急騰が主因。中東情勢の先行き不透明感を背景とした原油先物価格の高止まりも副次的な要因だ。国内要因としては、日銀の利上げ継続姿勢や財政懸念など素地はあるものの、新たな債券売りの材料は乏しい。
足元の米長期金利の急騰の要因はポジションの影響が大きいとみている。短期市場で年内の利上げ織り込みが進む一方で、政策金利の据え置きや、雇用の悪化、米財務長官による長期金利抑制策にベットしていた市場参加者によるポジションの投げが出ているのだろう。
米連邦準備理事会(FRB)の二大責務である労働市場とインフレの安定については、インフレを警戒するというスタンスに統一された。米FRB幹部のコミュニケーションを踏まえても、タカ派に大きく変化している。このため、今後はショートポジションが構築される可能性があり、米金利は上昇余地が残る。
ただ、米国の株式と債券のイールドスプレッドをみると、債券の利回りの方が高い時間が続く可能性がある。米株式の上昇が頭打ちとなれば、債券に資金が戻り、金利上昇圧力を和らげていく。
日本の場合は円債の利回りよりも株式の益回りが高い。このため、資金が戻りにくく、円金利の上昇圧力はかかりやすい。過去のチャートを踏まえると、1996年2月と4月の3.46%と3.45%は目先のターゲットとなる。それらの水準を超えれば、大台の3.5%が視野に入っていく。
◎内憂外患の金利高、目先のレンジは3.0―3.25%か
<野村アセットマネジメント シニア・ストラテジスト 鈴木皓太氏>
国内外に金利上昇要因があり、内憂外患といえる。先週末の日銀会合では利上げに対して反対票が2票あったことなどから、インフレ抑制への姿勢に市場で疑念が生じ、金融政策が後手に回るビハインド・ザ・カーブへの懸念が再燃している。
急速な円安で、輸入インフレへの警戒感から利上げ観測の高まりも伴っており、中期ゾーンの金利も上昇している。ただ、10月利上げの織り込みは3割程度にとどまっており、ビハインド・ザ・カーブ懸念が晴れるには十分とはいえない。世界的な金利上昇の根底には原油高があり、中東情勢が明確に収束に向かい、原油価格が下落するまで金利は高止まりしやすい。
目先の長期金利は3.0─3.25%のレンジでの推移を見込んでいる。潜在成長率と物価上昇率を踏まえると、現時点で3%台後半の水準は想定しにくい。