※あのニュースはどんな業界に影響するのか、あの企業の株価が動いたのはなぜか……。連載「ニュースで読み解く!注目株」では、株式市場を知り尽くした執筆陣が、いま注目すべき銘柄や相場の展開を解説します。 

野村ホールディングス<8604>などの証券株が底堅い動きを見せ、株式市場で静かな注目を集めています。証券株といえば、株式相場の上下で業績が大きく左右される景気敏感株、というイメージを持っている方も多いでしょう。

しかし足元で大手から中小まで多くの証券株が買われている背景には、市場環境の好転だけでなく、証券業界が時間をかけて進めてきたビジネスモデルの転換が寄与しています。

証券株の好調を支える株価・インフレ・金利

証券株の堅調さを支えているのが、投資家の懐具合の温かさです。

株式市場では日経平均株価が6月の高値からやや調整局面に入っていますが、TOPIX(東証株価指数)は比較的安定した値動きを維持しています。これまで相場を牽引してきた一部のAIハイテク株から、出遅れていた割安(バリュー)株や内需株へと物色の対象が広がったことで、恩恵を受ける個人投資家が増えています。

投資家の利益が着実に増えていることは、投資マインドを上向かせ、証券会社にとっても資産運用ニーズの大きな追い風となっています。

■インフレと金利上昇で「貯蓄から投資へ」が現実に

さらに見逃せないのが、インフレの進行と金利上昇という経済環境の変化です。国内の新発10年物国債の利回りは足元で3%前後と、およそ30年ぶりの水準に上昇しています。

日銀が公表した「資金循環統計」によると、家計が保有する株式・投資信託の残高は前年同期比44%増の約678兆円まで膨らみ、統計を遡れる2005年以降で初めて、保険・年金(約585兆円)の残高を上回りました。

物価が上がり、肌感覚として現金の価値が実質的に目減りしていくなか、運用による資産防衛への意識が高まっています。NISAの普及も後押しとなり、長年言われてきた「貯蓄から投資へ」というテーマが、ようやく具体的な数字として表れてきたと言えるでしょう。

変わる証券業界、さらなる業界再編も

個人の旺盛な運用需要を取り込むため、証券会社のビジネスのあり方も徐々に形を変えてきました。

一昔前の証券営業といえば、顧客に株式の短期的な売買を繰り返し勧めて販売手数料を稼ぐスタイルが主流でした。しかし現在は、顧客の資産を中長期で預かり、残高に応じて継続的な手数料を得る、より顧客に寄り添うスタイルへと移行しています。

実際に、投資信託やファンドラップといった運用商品の残高が積み上がったことで、日々の相場の上下動に過度に依存しなくても安定して利益を出せる土台が整ってきました。この手数料ビジネスによる収益の安定化が、各社の業績の底上げに寄与しているのです。

業界再編への動きと、野村HDの強み
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