それほど平等なのか

こうした措置は福祉大国スウェーデンの立役者には耐えられないかもしれないが、何年も続いている変化の一端にすぎない。

世界の富裕層に関するクレディ・スイスの調査によると、スウェーデンの最富裕層1%が自国に占める富の割合は、米国のそれよりも大きい。

「経済的な貴族社会が復興しているようなものだ」と、スウェーデン労働組合連合のチーフエコノミスト、オラ・ペターソン氏は言う。

スウェーデンでは一部の国で見られるような社会的混乱はないものの、多くのスウェーデン人は、2013年に首都ストックホルムで発生した暴動や、犯罪組織による暴力事件の急増は、欧州でポピュリストの躍進をもたらしているような社会的分断の表れだと感じている。

1970年代まで続いた歴代の社会民主労働党政権は、富裕層に対し、高額な所得税や富裕税、相続税や贈与税、固定資産税を課してきた。

スウェーデンの家具小売り大手イケア創業者イングバル・カンプラード氏ら多くの富裕層は、自身の資産を海外で保有した。

こうした海外流出に直面したスウェーデンは、市場志向の改革に着手し、小規模ビジネスや起業家を優遇した。

長年かけて引き下げられ、緩和された富裕税は2007年に廃止された。高額な固定資産税は上限7812クローナの手数料に取って代わった。

相続税も廃止された。一方、英国では、相続を受ける者は32万5000ポンド(約4700万円)を超えた場合には40%の税金を支払わなければならない。

同時に、超低金利政策が取られた10年間で、不動産と株式の価値が急上昇し、所得の大半を月給ではなくキャピタルゲイン(株式などの譲渡益)で稼ぐ人々が増加した。

中道右派政権は2006─14年、所得減税に着手した。上乗せ分を除く最高税率は1970年代後半の約90%から60%程度に引き下げられた。福祉給付もカットされた。

「スウェーデンは世界最高の国だ。富裕層にとってはね」と、社会民主労働党の元議員で現在は医療分野のビジネスマンに転向したヤン・エマヌエル・ヨハンソン氏はユーチューブ動画で皮肉に語っている。

スウェーデンで人気のリアリティー番組シリーズ「ロビンソン」で優勝した有名人で富豪のヨハンソン氏は、格差拡大は、街で暴動が起きるなど社会全体にとって代償を伴うと警告する。

「自分は特権階級の1人で、自宅周辺に高い壁を築くことができるとも言える。もしくは、地下鉄に乗る人たちに降りかかる災いは、いずれロールスロイスを運転する人たちにも災いとなることを認識する必要がある、とも言えるだろう」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[ロイター]
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