
AI時代に問われるのは、「本質的な課題解決」
──AIの普及で、ブランドの重要性はどう変化していくとお考えですか。AIにも選ばれる時代において、ブランド戦略はどのように変わっていくでしょうか。
AI最適化(AEO)の重要性は高まっていて、日々のブランド構築の中でも意識していく必要があります。ただし、それだけに頼っていては、目先の売上は上がっても、中長期的な信頼の積み上げにはつながりません。
象徴的な事例が、近年世界的にヒットしたぬいぐるみのLabubu(ラブブ)です。ブラインドボックスという仕掛けや、開封動画のSNS投稿で一気に話題をさらった。ただ、話題を作ることと、信頼を積み上げることは別物です。
むしろ大切なのは、真の課題がどこにあるかを見極めることです。
パンデミック初期のAirbnbは、米国内の全予約の80%を失い、売上がほぼゼロになりました。マーケティング予算を大幅に削り、リストラも行い、英語圏のメディアでは「Airbnb終焉のはじまり」と騒がれたほどです。
しかし、Airbnbはワーケーションや多拠点生活など、「28日以上の長期滞在」の需要が高まっていることに気づきました。そこで焦点を当てたのが、信頼できるホスト(大家)の供給不足という課題です。ホストの登録にかかっていた時間を、2週間から数分に短縮する大改革を行いました。供給が満たされたことで同社は一気に回復し、約9か月でナスダック上場を果たしました。
認知度が低いからといって、話題作りのプロモーションやマーケティング施策に走るのではなく、「本当の課題はどこにあるのか」を問う。これが信頼の土台になり、AI時代にこそ不可欠な姿勢ではないかと思います。