Jonathan Stempel
[11日 ロイター] - 人権団体の全米市民自由連合(ACLU)などは11日、出生地主義に基づく市民権の付与対象を制限するトランプ米大統領の新たな大統領令について、執行を差し止める訴えを東部ニューハンプシャー州の連邦裁判所に起こした。
米国籍や永住権(グリーンカード)を持たない親から生まれた子どもへの出生地主義による市民権付与を終了させようとトランプ氏が1月に発出した命令は、連邦最高裁が6月30日に違憲で無効と判断している。今回原告側は、新たな大統領令が最高裁の判断を回避しようとする不適切な試みだと批判した。
裁判所に提出された書面で原告側は「最高裁の明確な判断にもかかわらず、大統領は依然として、市民権を否定する子どものカテゴリーを自ら決定する権限があると主張している。裁判所は、政府が大統領令や同様に欠陥のある行政権限の行使によって、集団訴訟の対象者から市民権を奪うことはできないと明確に示すべきだ」と申し立てた。
ホワイトハウスの報道官は「トランプ政権は常に裁判所の命令に従ってきた。最近の最高裁判決以降に大統領が取った全ての措置は、判決の判断と分析に沿ったものだ」とする声明を出した。
出生地主義の制限は、トランプ氏が進める移民取り締まり強化策の重要課題の1つ。トランプ氏が6日に署名した新たな大統領令はとりわけ「出産ツーリズム」を標的としている。これは子どもに自動的な米国籍を取得させるため、女性が出産目的で米国へ渡航する行為を指す。
新たな措置では、米国内で外国政府のために働く親や、市民権取得に関して不正行為を行った親、「敵性外国人」に分類された親の子どもについては、市民権付与を認めないとしている。
トランプ氏は6日、大統領執務室で記者団に対し、最高裁判断について「非常に残念だ。出産ツーリズムを利用したビジネスが成り立っている」と強調した上で「恥ずべきことだ。彼らは金で権利を買っているようなもので、われわれはそれを許さない」と語った。
当初の大統領令は、不法滞在者に加え、留学生や就労ビザ(査証)保有者など一時滞在者の子どもも対象としていた。今回の申し立ては、新たな大統領令が先行する差し止め命令によって保護されている子どもたちの市民権を脅かすものではないことを明確化するよう求めている。
ACLU移民権利プロジェクトの副ディレクター、コーディ・ウォフシー氏は「トランプ氏は出生地主義による市民権が憲法上の権利であることを好まないかもしれないが、それは問題の本質ではない。子どもたちの市民権に対する違法で残酷な攻撃を終わらせる時期は、とっくに来ている」と述べた。
移民抑制を支持するシンクタンク「移民研究センター(CIS)」は、2020年時点で年間2万-2万6000人の母親が出産ツーリズム目的で米国に入国していると推計している。米政府統計によると、2025年の米国内の出生数は361万人だった。