今回の衝突は大きな注目を集めているが、月の基準からみるとそれほど大きな衝撃ではないとNASAは解説する。

予想では、ファルコン9のロケット上段は、月のアインシュタインクレーターとベルクレーターの近くに墜落する。

衝突の衝撃で生じた揺れが月の内部を伝わって「月震」を引き起こすかどうかも注目される。

惑星地震に詳しいメリーランド大学のニコラス・シュマー教授は、もしも観測機材があれば、衝撃で新しくできたクレーターと地震動の両方が検知できていただろうと本誌に語った。

「ファルコン9の衝撃で、月面に新たな衝突クレーターができるのはほぼ確実だ。ただ、アポロ時代にサターンVの3段目を衝突させてできたクレーターよりは小さいだろう」「その新しいクレーターは、月周回探査機のカメラがほぼ確実にとらえる。最終的にどんな形状になるかは不明だが、画像を撮影することで、今回のような衝撃の反応によってクレーターがどう形成されるかについて理解が深まる」

シュマーによると、衝撃で閃光が走り、粉塵が吹き上がった可能性もある。

「衝撃で一瞬の閃光が生じ、放出物が短時間噴き上がった可能性もある。ただしそれを観測するためには高性能の望遠鏡や専用の観測機器が必要だ」「地球上の望遠鏡では昨夜、衝突の閃光をとらえる集中観測が行われた」

「この衝撃はほぼ確実に、それなりの月震を引き起こす」とシュマーは言う。「残念ながら、現在月面でその観測を行っている基地はない。従って、今後の影響を観測できる新機材が月に設置されるまで待つしかない」

NASAによると、月面に伝わるエネルギー量に換算すると、今回の衝突は特異な出来事ではない。同程度の衝突エネルギーをもつ隕石は、およそ6日ごとに月に衝突している。月には大気がないため、絶えず宇宙からの衝撃を吸収している。つまりファルコン9が墜落しても、月全体に大きな影響を及ぼす可能性は低い。

「地球には一切、危険は及ばない。NASAの科学者は、今回の事象から月のデータを収集し、宇宙空間の物体を追跡する技術の向上に役立てる」。NASAのジミ・ラッセル報道官はそうコメントした。

かつてNASAがやっていた月面衝突
【関連記事】