<アナグマはイギリス人にとって豊かな農村風景を象徴する心の故郷といえるが>

[ロンドン発]英人気自動車評論家ジェレミー・クラークソン氏がコッツウォルズで東京ドーム 85個分
の広さの農場を悪戦苦闘しながら経営する姿を記録したアマゾンプライムビデオ『ジェレミー・クラークソン農家になる』でウシ型結核菌とアナグマの話が取り上げられている。

ヒトの結核は多くがヒト型結核菌によるものだが、ウシ型結核菌も人間に感染して結核を発症させる人獣共通感染症の病原体。英国ではウシ型結核菌の陽性反応が出た牛は原則、強制的に殺処分される。飛沫や排泄物、汚染された飼料や水を介して感染が広がるからだ。

1頭でも感染してその放置すれば移動などを通じて他の牛群へ広がる恐れがある。「牛結核清浄国」の地位を得なければ牛肉や乳製品に輸出規制がかかる。ウシ型結核菌はヒトへの感染リスクは低いものの、根絶が原則になっている。

牛を失う損害、出荷停止による損失は完全には補償されない

農家は定期検査が義務付けられ、陽性反応が出た段階で牛の出荷や移動が禁止され、政府の指示で屠殺場へ送られ殺処分にされる。一定の法定補償金が農家に支払われるものの、高額な繁殖牛や乳牛を失う損害、出荷停止による損失を完全に補うことはできない。

この10年で27万8000頭以上の牛が殺処分にされ、年間1億ポンド超の血税がつぎ込まれた。糞尿や唾液を介して牧草地や牛舎周辺にウシ型結核菌をまき散らす野生宿主のアナグマは限定的な許可制によりこれまでに23万~26万頭以上が駆除されたが、手厚く保護されている。

農家は「野生宿主の密度を減らさなければ牛の結核は防げない」と強く反発している。しかし1992年アナグマ保護法で政府の発行する特別な許可がない限り、アナグマを捕獲・殺傷したり巣穴を破壊したりすれば犯罪となり禁固や罰金が科される。

ワクチン実用化や国際貿易上の承認には数年かかる
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