サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米大会準決勝でアルゼンチンに2-1で敗れ、1966年以来となる決勝進出を逃したイングランドは絶望に包まれているように見える。だが1つだけ慰めがある。少なくとも当面は世界が一つにまとまれるということだ。イデオロギーや宗教、国同士の対立で分断されていても、「イングランド嫌い」の一点で団結できるのである。
アルゼンチンのイングランドへの敵意は周知の事実で、W杯でも66年、98年、2002年と何度も激しい対戦を繰り広げてきた。なかでも有名なのが、ディエゴ・マラドーナの「神の手」と5人抜きゴールで知られる86年のメキシコ大会。アルゼンチンが2-1で勝利したこの試合は、82年のフォークランド紛争の記憶が色濃いなかで行われ、マラドーナはその勝利を、紛争で死んだ自国兵士のための復讐だったと明言している。
もっとも、イングランド嫌いにかけては、スコットランドとウェールズがさらに上を行く。イングランドと共にイギリスを構成する両地域では、イングランドへの嫌悪が文化の重要な一部となっている。
アルゼンチン戦を前に、スコットランドの各都市ではアルゼンチン国旗がたなびいていた。「イングランド以外ならどこでもいい」というわけだ(イングランド側は、イギリス人らしい控えめな言い方で「フォークランド紛争では多くのスコットランド兵やウェールズ兵も戦死した」と指摘してきたが)。
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