学生時代の僕は、死刑に反対する最も強力な論拠は、間違いなくエバンスの事件だと考えていた。彼は無実だった。
だがひょっとすると、厳密な意味での誤りはなかったからこそ、むしろ本当に考えさせられるのはエリスの事件かもしれない。彼女は確実に彼を殺し、衝動的な犯行でもなく、本人が自白し、裁判によって何が起きたかも明らかになった。
あまりに拡大しすぎた被害の連鎖
だが数十年後の今、僕たちは彼女が負ったトラウマを、よりよく理解できる。彼女の生き方についても、当時とは異なる見方をするだろう。
彼女は、裕福な男性に取り入っては拒絶されると暴力に訴えるような「魔性の女」ではなかった。2人の子供を育てることに苦闘しながら、付き合った男たちから次々と虐待を受けていた母親だった。上司から関係を無理強いされ、暴力的なアルコール依存症の夫とは離婚に至り、そして彼女が殺害した虐待的な男性との関係があった。
彼女は恐ろしい過ちを犯した。だが彼女自身も、恐ろしい仕打ちを受けていた。
エリスの元夫は後に自殺した。エリスの母親も自殺を図り、障害が残った。エリスが亡くなったとき10歳だった息子も、中年になって自ら命を絶った。あまりにも大きな巻き添え被害だったように思える。
実質的に、警察も裁判所も、当時のあらゆる事実と論理に照らせば、正しく職務を果たした。それでもなお、間違っていた。
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