ドル信認の揺らぎによる資金退避の動き

近年、グローバル金融市場において「ディベースメント(通貨価値下落)取引」が急速に存在感を高めています。これは、過度の財政拡張や金融緩和によって中央銀行や法定通貨の信認が揺らいだ際、通貨価値の下落に備えて、金(ゴールド)や暗号資産(仮想通貨)といった特定の主権に依存しない代替資産へ資金を退避させる戦略です。

背景には、世界の基軸通貨であるアメリカドルの信用を脅かす、深刻な財政リスクがあります。


8月18日、アメリカの連邦政府債務総残高は史上初めて40兆ドルを突破しました。さらに、財務省が長期・超長期金利の抑制を目指し、国債の買い入れ消却(バイバック)の上限を従来の2倍となる40億ドルに拡大したことで、市場には財政不安がむしろ現実的なリスクとして顕在化することとなりました。

主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」が3カ月ぶりの安値圏へ沈む一方、無国籍の安全資産である金価格は急騰。ロンドン現物価格やニューヨーク金先物は一時1トロイオンス=4700ドル前後の最高値圏に達しました。

ヨーロッパ中央銀行(ECB)が2025年に公表した調査によれば、世界の外貨準備高に占める金の割合は27%で、アメリカ国債(22%)を約30年ぶりに上回りました。「アメリカ国債離れ・金シフト」の世界的な流れは決定的なものとなっています。

金高騰の恩恵を享受できる日米5銘柄

この歴史的な通貨価値下落の時代に注目したいのが、金高騰の恩恵を享受できる銘柄です。

■「資源二刀流」か、進化する「都市鉱山」か

日本株市場では、優れた製錬技術やリサイクル網を有し、金高騰の価値を多面的に吸収できる3社が候補に挙がります。

住友金属鉱山<5713>は、国内唯一の産金鉱山「菱刈鉱山」(鹿児島県)を保有しており、金価格の上昇が保有資源価値の再評価へと直結します。海外の優良銅鉱山やニッケル、電池材料事業も一体運営しており、金と銅の両輪からなる「資源二刀流」の収益構造は、コモディティインフレ全体の受け皿として機能します。

株価は上場来高値を更新するなど見直し買いが入っていますが、金属市況や為替相場のボラティリティに業績が左右されやすい点はリスクです。

住友金属鉱山の株価チャート
都市鉱山で稼ぐ日本株と、規模が魅力のアメリカ株
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