<本件については、英国、ジブラルタル、スペイン、EUが4年以上交渉を重ねてきた>
[ロンドン発]7月15日、欧州の歴史が大きな一歩を踏み出す。イベリア半島の南端に位置する英国の海外領土ジブラルタルとスペインを118年前から隔ててきた物理的な国境フェンスが撤廃される。ジブラルタルは主権問題では譲らずに実利を取ることに成功した。
かつてスペインの独裁者フランシスコ・フランコによる完全封鎖や外交的緊張のたびに数時間に及ぶ大渋滞が発生した「目に見える国境」は英・EU離脱後交渉の最終決着により「地図上の国境」に過ぎなくなる。
英国、ジブラルタル、スペイン、EUの4年以上に及んだ交渉を経て署名された記念碑的な新条約はジブラルタルを旅券なしで自由に移動できる欧州のシェンゲン圏や関税同盟のルールに実質的に組み込む形となった。主権争いを棚上げして陸路の移動は自由化される。
国境管理をジブラルタルの空港や港に移す
国境管理を廃止するのではなく、ポイントを「スペインとの陸路国境」から「ジブラルタルの空港や港」に移した。ロンドンのセント・パンクラス駅で行われている国際列車ユーロスターの出入国管理に似ている。
ジブラルタル空港に到着した旅客はジブラルタル当局の入国審査を受け、その直後にスペイン警察によるシェンゲン圏の入国審査を受けることになる。共通出入国管理施設はジブラルタルのファビアン・ピカルド自治政府首相によって「シェンゲン小屋」と命名された。
ジブラルタル側は施設の配置によってスペイン警察が領内で自由に活動する形にはならないと説明する。英国などシェンゲン圏外からジブラルタルへ空路・海路で入る旅行者にはEUの電子出入国システム(EES)が適用され、スペイン当局が旅券確認、顔画像の取得、指紋登録を行う。