──以前の日本社会は無謬(むびゅう)主義、特に「お上(かみ)」はミスなしで当たり前という意識が広がり、それが結果的に重大なミスにつながったのか。

原発の「絶対安全神話」と言っても、実際のところ、原発が絶対安全だと信じている人はいないと思う。ただ、安全のために備えるもろもろの措置に関する「宿題」を「お上」が与え、その宿題に電力会社などの事業者が「正解」を出すという構造になっている。

新たな技術や工程を導入して安全性を改善しようとすると、「お上」は自分が出した宿題で既に100点を取っているのに何だ、と言わんばかりに不機嫌になる。この「お上」の顔色をうかがう忖度の空気とガバナンスが「絶対安全神話」のさらに背景にあると思う。

──半導体は「最大の敗戦」とおっしゃった。アメリカにつぶされたとの見方があるが、船橋さんは日本自身の問題もあったと指摘している。

日本の半導体市場におけるアメリカの半導体製品の20%以上の市場シェア確保を求めた日米半導体協定のサイドレターは、明らかに自由貿易の原則違反で、日本側は米側の圧力に屈してしまった。もう少しずる賢く抵抗する術もあっただろう。

ただ、「半導体敗戦」全体は日本の官民そろってのオウンゴール、自分たちの責任だったと思う。自前主義、純潔主義でやろうとしたのが敗因だ。80年代末には日本の半導体は世界1位で、世界トップ10の中に日本の半導体メーカーが数社もある状況だった。

だが、日本の半導体企業はいずれも総合電機メーカーの一部門だった。1社でもアメリカに直接進出して米企業を買う、あるいは合弁を組む企業がいなかった。韓国や台湾の企業と組むといった多角的な戦略をなぜ取れなかったのか。他国の力を使って自分の力を温存する、あるいは伸ばす発想が乏しかった。

「国民安全保障国家」の建設
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