<FRBは政策金利を据え置いたが、引き締め方向に変わることは明らか。一方、一足先に利上げに踏み切った日銀の判断は、今後、日本経済の成長にブレーキをかける可能性が高い>
6月16~17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)において、ケビン・ウォーシュFRB(連邦準備制度理事会)新議長体制が名実ともにスタートした。
会合で事前の予想通りに政策金利は3.50~3.75%に据え置かれたが、参加者が示した政策金利の想定が3月時点から変わり、半数近い参加者が年末までの利上げを想定していることが明らかになった。
春先まで経済メディアでは、トランプ政権に任命された新議長の下でFRBの金融緩和姿勢が強まると解説されていたが、実際には金融引き締め姿勢を強めている。
物価の安定と雇用の最大化を目標として明確に課されるFRBの政策は、経済・インフレ情勢によって変わる。したがって、誰が議長になっても、インフレがより警戒される状況にあると考えるメンバーが増えれば、FRBの政策姿勢が引き締め方向に変わることは明らかである。
FRBの政策判断は経済情勢次第ではあるが、ウォーシュ議長率いるFRBの「金融市場との付き合い方」は大きく変わるとみられる。
ウォーシュ議長がFRBによる情報公開が不適切であるとの問題意識を強く持っていることが明らかになり、就任早々にFOMC会合の声明文はかなり簡素化された。
FOMCの各参加者が金利想定を示すドットチャートについても、ウォーシュ議長は懐疑的である。ジェローム・パウエル前FRB議長(現在も理事)らもドットチャートが必ずしも必要であるとは認識していないとみられ、9月会合からはこれが公開されなくなると予想される。
中央銀行による情報公開が少なくなることに対しては、投資家側から不満の声が上がり、経済メディアなどでは今後そうした意見が散見されるだろう。ただ、先に述べたように、FRBが経済指標に基づき、経済・インフレに対するリスクに応じて政策判断を行うことは変わらない。