コージー(心地よい)という感覚は、今やトレンドだ。人気にあおられ、ビデオゲームもコージー化している。

農業ゲームやデコレーションゲームなど、非暴力のコージー系は低ストレスで、リラックスできる。ゲーム分野で最も人気が高く、商業的成功度も高いジャンルの1つだ。

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きっかけは、米ゲーム開発者エリック・バローニが2016年に発表した『スターデューバレー』だった。農場を舞台にした本作で、根菜のパースニップ(シロニンジン)を栽培したり、ベリー類を採集する喜びに多くのプレーヤーが目覚めた。

だが爆発的に成功したのは、20年3月に発売されたニンテンドースイッチ用ソフト『あつまれ どうぶつの森(あつ森)』だ。コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)生活が始まった当時、このゲームは現実からの逃げ場になった。

多くの意味で、コージー系は従来型ゲームの在り方を覆す存在だ。スコアより心地よさを重視し、競争ではなくつながりを評価している。

とはいえ、コミュニティーの安心感や絆がある一方で、コージーゲームで構築される人間関係は「交換システム」に基づいている。思いやりや友情、親密さは反復可能なアクションで獲得する対象だ。

そもそも、コージー系の定義は何か。ゲーム開発者らに言わせれば、コージーゲームは一般的に感情移入の度合いが高く、配慮する気持ちを引き起こす。さらに、のんびりしたプレーや交流が推奨され、ゲーム内世界を探ったり、遭遇するキャラクターの感情に気を配ることが求められる。

逆説的なことに、現代の労働環境で嫌われる反復作業は、ゲームの心地よさのカギだ。ささやかで単純なタスクを完了すると、満足感や達成感が湧き起こる。現実生活の安定性と無関係なら、なおさらだ。

この10年間のコージー系を代表する『スターデューバレー』と『あつ森』が示すように、バーチャル世界で作物を植えたり、友情という成果を収穫する行為は熱中感を生み出す。これらのゲーム空間では、ささやかに見える行為に大きな心理的影響があり、小さなことが重要だと気付く。

レトロな8ビット風グラフィックの『スターデューバレー』は、祖父の小さな農場を相続したという設定で始まる。地元コミュニティーになじんでいくなか、すぐに明らかになるのが、プレゼントやお返し、日常会話が友情を築き、ロマンスの土台になることだ。

農作業や釣り、伐採をこなしながら、プレーヤーは地元住民と交流する。彼らにはそれぞれ好きなものがあり、それを贈れば、親しくなれる。

無人島で新生活を始めるという設定の『あつ森』でも、さまざまな動物を擬人化したキャラクターとの交流が促される。

島の仲間である彼らもプレゼント好きだ。雑草の束や果物をあげると好意的な反応を得られ、お返しに服や家具などの「贅沢品」をもらえる可能性が高い。

プレーヤー間のデジタル共同体の形成にも目配りしている。ニンテンドースイッチオンラインでは、ほかの島を訪問したり、自分の島に遊びに来てもらうことが可能だ。

そんな『あつ森』は、新型コロナのパンデミック中に大歓迎された。これまでの世界累計販売本数は4900万本以上。社会距離戦略や移動制限が課された当時、デジタル空間での友人との交流は、多くの人の孤独感を和らげた。

今年の3月に発売されたニンテンドースイッチ用ソフト『ぽこ あ ポケモン』も、同様の路線を打ち出している。ドル箱シリーズのスピンオフである本作は、おなじみのモンスター捕獲ゲームを再構成。ガーデニングやクラフトの癒やし効果に焦点を当てている。

『ぽこ あ ポケモン』で遊ぶ人
『ぽこ あ ポケモン』は街づくりがテーマ JOHN KEEBLE/GETTY IMAGES

ゲームが目指すのは「急がず、焦らず、個性豊かなポケモンたちと力を合わせて、みんなが気に入る街を自由に作って」いくこと。心地よさや現実逃避、共同体という要素に、市場とプレーヤーへの訴求力があるのは明らかだ。

コージー系の台頭はいいことずくめのようだが、ゲーム内の社会的理想像には批判的検討が必要だ。『スターデューバレー』や『あつ森』では、人間関係が定量化可能で、取引的なものにもなっている。

『あつ森』では、友情がポイント化される。多くの行為にポイント価値があるが、相手がより好むのは贈り物だ。ポイント数はゲーム内で表示されないが、レベルは6段階あり、親密度が最大になるとお返しがある。ゲームを支配しているのは、こうした「投資と交換」の構造だ。

『スターデューバレー』の場合、友情の進展具合がハートのアイコンで表示される。住民それぞれの好みを記録するギフトログによって、プレゼントの効果やコスト効率が保証され、好意は「買うもの」として形式化している。ここでは、友情も恋愛も達成を目指すタスクだ。コージーゲームの友情システムを管理し、最大化するのに時間はかかるかもしれない。とはいえ行き着く先は常に物質的な利益だ。

『ぽこ あ ポケモン』も例外ではない。貴重なゲーム資源にアクセスするには、特定のポケモンと親しくなる必要がある。プレーヤーにとって対人関係は何かを手に入れるための手段だ。この種のゲームは、巨大ビジネス化している。『ぽこ あ ポケモン』は発売後4日間で、世界販売本数が220万本を突破した。

仮想のパースニップを少しずつ収穫するたび、コージーゲームは社会的孤立や経済不安、地政学的不安定性からの逃避先となる心地よい幻想を与えてくれる。そこに反映されているのは、現代ならではの切望だけでなく、不安感そのものかもしれない。

The Conversation

Christina Fawcett, Instructor, Department of English, University of Winnipeg and Andrea Braithwaite, Teaching Professor in Digital Media Studies, Ontario Tech University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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