空高くそびえるニューヨークの象徴、エンパイアステートビル。しかし約1世紀前の設計当時、今では想像もつかないような役割が期待されていた。

エンパイアステートビルの特徴的な尖塔はもともと、マンハッタンの数百フィート上空に飛行船を停泊させる係留マストとして考案された。乗客が空から直接同ビルへと降り立つことができるようにする構想だった。

1920年代後半から1930年代初頭にかけては、飛行船が長距離旅行の未来を担うと信じていた技術者や設計者が多かった。エンパイアステートビルの野心的な計画は、その時代を反映している。

結局、その構想は実現しなかったものの、アメリカ建築史上に残る「もしもそうなっていたら」という問いは、今も人々を魅了する。

ニューヨークでは今、歴史的建造物への関心が高まっている。

高級マンションへと改築中のフラットアイアンビルや、大規模な改修工事が進むペンステーションなどは、現代的な用途への転用で再び注目を集める。

一方、エンパイアステートビルの飛行船係留計画が頓挫したことは、この100年の間に交通機関や都市開発に対する期待がどれほど大きく変化したかを物語る。

飛行船係留構想が持ち上がった理由
【関連記事】