インドのナレンドラ・モディ首相は、3期目の任期が半ばに差しかかった。与党・インド人民党(BJP)は選挙で勝利を重ね、くら替えした野党議員を取り込みながら、着実に勢力を広げている。

だが今、思わぬ逆風が吹いている。インドのZ世代(1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代)が、政府に対して反発を見せ始めたのだ。

6月6日、数千人の学生や活動家が首都ニューデリーのジャンタル・マンタル広場に集結した。参加者たちはゴキブリのお面を着け、プラカードや花を手に、ダルメンドラ・プラダン教育相の辞任を求めた。大学入試問題の漏洩スキャンダルが相次いで発覚したためだ。

この抗議活動を主催したのは、その名も「ゴキブリ人民党(CJP)」。風刺的な政治運動として生まれ、主にSNSで支持を集めてきた。実際に大規模な街頭活動を行ったのは、今回が初めてだ。

発端は5月15日、スーリヤ・カント最高裁長官が、社会運動に関わる失業中の若者をゴキブリに例えたことだ。

「ゴキブリのような若者がいる。就職もせず、専門職にも縁がない。自ら情報発信を始め、SNSや情報公開法を利用して、あらゆる人をこき下ろしている」

カントはその後、批判の対象は学歴詐称者だと弁明した。だが「ゴキブリ」という言葉は、高学歴でありながら職に就けない数百万人の若者の神経を逆なでするには、十分すぎるインパクトがあった。

2日後、在米インド人のアビジート・ディプケがSNSで、与党・インド人民党の名称をもじった「ゴキブリ人民党」を立ち上げた。

「世界最大の政党」を上回った「怠け者と失業者の代弁者」
【関連記事】