エルサレムの路上でフランス人修道女が暴行を受けた事件は、イスラエル国内でキリスト教コミュニティーに対する敵意が高まっていることを改めて突き付ける。
4月28日に防犯カメラで撮影された映像では、男が修道女の背後から駆け寄り、激しく突き飛ばしている。男は倒れた修道女を蹴り続け、通行人が止めに入った。
男はユダヤ教徒がかぶる「キッパ」と呼ばれる帽子と儀式用の房飾りを身に着けていた。その後、ヨルダン川西岸の占領地に住む36歳のイスラエル人入植者と判明。イスラエル検察当局によると、容疑者は身柄を拘束され、宗教グループへの敵意を動機とする暴行罪で起訴された。
イスラエルでは近年、キリスト教徒に敵意を示す暴力行為が処罰されないことが多いと、批判が出ている。当局が個別の事件として扱い、宗教的過激主義など、より大きな問題の兆候として捉えていないという指摘もある。
キリスト教コミュニティーへの攻撃は、直接的な危険をもたらすだけではない。イスラエルの国際的な評価を損ない、キリスト教社会との重要な関係を悪化させる恐れがあるのだ。イスラエル、特にエルサレムにおける宗教の自由をめぐる懸念は、外交上、極めて重い意味を持つ。
キリスト教徒に対する言葉や身体的な嫌がらせに加え、教会や宗教的シンボルへの冒瀆行為は、イスラエル国内における宗教コミュニティー間の微妙な均衡に深刻な緊張をもたらしている。
その均衡は長年にわたり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとってそれぞれ聖地であるというエルサレムの特殊性により保たれてきた。特に旧市街では、複数の宗教の聖職者や信徒が近接して暮らし、礼拝を行っている。しかし近年、ユダヤ民族主義者や宗教的過激派の台頭により、その均衡が脅かされている。