キリスト教徒への暴力は旅行者を遠ざける
キリスト教徒はイスラエル国内で政治への影響力をほとんど持たない。けれどもキリスト教自体は世界中に張り巡らされたネットワークを通じ、外交でも道徳面でも多大な影響力を行使できる。
キリスト教徒の巡礼や観光はイスラエルにとって重要な収入源であり、キリスト教徒への暴力は旅行者を遠ざける可能性がある。
またこうした事件が広く知られるにつれ、大きなキリスト教人口を抱えるヨーロッパでも懸念が高まっている。
3月29日、カトリック教会の重鎮ピエルバッティスタ・ピッツァバッラ枢機卿は復活祭直前の日曜日「受難の主日」のミサを執り行うためにエルサレムの聖墳墓教会に入ろうとして、警察に阻止された。
するとイタリアのジョルジャ・メローニ首相は声明を発表し、警察を非難した(アメリカ・イスラエルの対イラン戦争を受け、聖墳墓教会などの聖地では、当時参拝者の立ち入りが禁じられていた)。
ガザをめぐり、イスラエルとヨーロッパの関係は既に著しく冷え込んでいる。否決されたが4月には、一部のEU加盟国が自由貿易の推進などを目的としたイスラエルとの協定の停止を求めた。
5月13日にはイスラエルの国会で、キリスト教徒への嫌がらせをテーマに公聴会が開かれた。ユダヤ教改革派のラビ(聖職者)でもあるギラド・カリブ議員は、暴力行為の増加はイスラエルの外交的立場という観点から語られがちだが、より深刻なのは敵意が国の根本的価値観を損なっていることだと述べた。
カリブはこうした事件を「教育の失敗」と呼び国会での議論にとどまらない取り組みを呼びかけた。「暴力事件は国家と社会に道徳的汚点を残している。私は改革派のラビとして現状を恥じている」