グレン氏はまた、ドイツで刊行した「Global Governance of the Transition to Artificial General Intelligence Issues and Requirements」を紹介しながら、来るべき未来の方向性を説いた。

日本ノードの再構築:持続可能な組織化への戦略

大手町での議論は、単なる概念論に終始せず、ミレニアム・プロジェクトの「日本ノード」を永続的かつ持続可能な組織として再構築するという、実務的な合意の可能性へと発展した。過去四半世紀、グレン氏が来日するたびに日本国内で未来学への熱意が高まるものの、彼が日本を離れると、そのエネルギーが徐々に霧散してしまうことが長年の課題であった。このサイクルを断ち切るため、集まったキーパーソンたちから具体的な提案がなされた。

現在ベトナムを拠点としながらも、折々帰国してオンラインと対面のハイブリッドで対話を継続しようとするホストの小林氏を中心に、複数の組織的基盤の創出が模索されている。一般社団法人「研究・イノベーション学会(JSRPIM)」https://jsrpim.jp/のような既存のアカデミアの枠組みの活用や、国内の有力大学への事務局機能の分散配置など、ジェリー氏自身が提案する「複数の拠点(マルチホーム)を持つノード」の実現に向けて動き出している。

今後の日本ノードの具体的な活動案として、膨大な『State of the Future 20.0』の翻訳を通じた国内の未来学リテラシーの底上げ、特定のテーマに絞った先端的レポートの作成、さらには政府機関などとの連携を視野に入れた「日本版・未来状態指数(State of the Future Index for Japan)」の開発の可能性が挙げられた。

ジェローム・グレンと小林隼人
グレン氏と議論を交わす小林氏(左から2番目)をはじめとするフォーサイトの専門家ら(5月、都内某所)

大手町での対話は、世界の最先端の予測手法と、日本の深い専門知識が交差したとき、未来は不確実な「脅威」ではなく、能動的に「設計できる領域」へと変わることを証明した。今後、小林氏(hkobayashi@bri-colage.co.jpがハブとなり、日本のフォーサイト・未来学の普及に向けた設計図を描く。

(記事後編に続く)

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