<来春の大統領選を控え、法秩序よりもイスラムの規範が少数派を圧迫している>

世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアで、性的少数者の「LGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」に対する当局などによる違法な人権侵害事件が続発し、人権団体や保護組織などが批判の声を強める事態となっている。

インドネシアは人口の大多数をイスラム教徒が占めるもののイスラム教を国教とはしておらず、他宗教も容認する「多様性」と「寛容」を国是としている。しかし現実にはイスラム教の規範が優先される傾向が強く、宗教的少数者とならんで性的少数者も人権侵害や迫害の対象となっている。

スマトラ島西スマトラ州パダン市で11月6日までに同性愛行為の疑いで女性10人が当局の身柄を拘束された。地元からの報道等によると、23歳から31歳の女性はお互いに抱擁したりキスしたりする写真をfacebookに投稿していた。

この写真をみつけた地元警備当局者が調査の結果、10人の身元を特定して東パダン、南パダンで身柄を拘束。パダン市当局に引き渡したという。

10人の女性のうち5人は一緒に生活していたほか、ネット上のグループには約30人が参加していたとして、残るメンバーについても身元特定を当局は急いでいるという。

当局は「女性同士の"抱擁やキス"が同性愛行為とみられる」と身柄拘束の理由を明らかにしている。拘束された10人の女性が実際に同性愛者かどうかについては伝えられていない。

参考記事:反LGBT気運が強まるインドネシア 外国人含むゲイら58人を逮捕

見せしめに消防車から放水して"お清め"

11月2日夜には、スマトラ島南部ランプン州西プシシール地方の観光地で、自警団組織が夜間パトロール中、女装した男性ら3人を発見した。3人は男性から性転換したトランスジェンダーで、インドネシアの伝統的な風紀、習慣にそぐわない、との理由で私的制裁を受ける事件が起きた。

3人は道路に立たされ、そこに消防車から放水が浴びせられたのだ。自警団関係者などによるとこれはイスラム教の「ジュヌッブ」という性行為などの後に身を清める「ワジブ」であると主張し、3人の「身を清めるための沐浴である」と放水を正当化していたという。

この放水の様子は見せしめとして自警団が撮影してインターネット上のソーシャルネットワークに投稿していた。

自警団の撮影した写真はLGBT支援者たちの怒りと共に広まった。Andreas Harsono - Twitter
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