私は高齢者医療に長年携わっているため、時にこんな質問を受けることがある。「どこの病院がいいですか?」「どこの施設がお薦めですか?」
今回のニューズウィーク米国版のランキングを含めて、さまざまな病院や高齢者施設のランキングが発表されている。それに掲載されている病院や施設の多くは私もいい評判を聞いているもので、ランキングとしては優れたものなのだろう。
本当によい施設は一体どこなのか──高齢者専門医としてそんな質問を受けた場合、「どういうニーズがあるのかが分からないと薦めようがない」のが実際のところだ。
最期を満足した形で迎えたいのか、少しでも長生きしてほしいのかでは、薦める病院や施設が違ってくる。私のいくつもの著書でも強調してきたように、長生きのための医療と生活の質(QOL)を重視する医療とは別物だ。
日本の場合、QOLより延命が重視される伝統があるので、QOL重視の施設や病院を探すのが意外に難しい。
延命治療というと、終末期状態で、人工呼吸器とか胃瘻(ろう)とかをイメージする人が多いだろうが、そこまで衰えていないうちの医療的管理や生活管理も延命を目的にしていることには変わりない。
例えば介護付きの老人ホームに入り、血圧が高ければ、投薬もされ、塩分を控えた食事が出される。薬で血圧を下げるとだるくなったり、フラフラしたりすることは珍しくない。さらに塩分を控えた食事も、高齢者にはおいしく感じられないことが多い。それが一日だけでなく毎日続く。
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