アメリカの優位性として軍事、AI以外のことは書かれていない

アメリカの優位性として軍事、AI以外のことは語っていない(過去の科学技術についての記載はある)。タイトルで「科学技術立国」と謳っている割には量子技術や宇宙についての記述はほとんどない。

AIについても具体的な内容はほとんどない。国家戦略・思想レベルの話をしているからなのかもしれないが、それにしてはシンギュラリティやAGIの話題がない。

本書の冒頭では、戦争の中心はキネティックからソフトウェアに移っていると書きながら、後者の代表はドローンやロボットになっている(ソフトウェアで動くからだそうだ)。ドローンやロボットはキネティックだろう。

百歩譲ってソフトウェアに区分するとしても、サイバー攻撃がほとんど出てこないのはおかしい(ハッカーについての記述はある)。

欠けているのはサイバー攻撃だけではない。AIによって脅威を増すと考えられているCBRN(化学、生物、放射性物質、核)兵器は、核以外にはほぼ言及がない。さらに今後を考えるうえで量子と宇宙は外せない科学技術である。

この本の著者は安全保障に関してきわめて偏った知識に基づいた論を展開していることになる。

余談であるが、日本のメディアではパランティアのことをよくAI企業と称する。「AIを利用している」という意味では間違ってはいないのだが、OpenAIやAnthropicのように強力なAIモデルを持っているわけではない。

AIという言葉をたくさん使うわりには、AIについての詳しい話がないのは、そのせいかもしれない。

アメリカの危機以外の危機(人類全体の危機など)については書かれていない
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