「ラジカル右派」とは何か

そして2022年のウクライナ戦争である。極右政党はそれまでそろって親ロシア・親プーチンの傾向があった。侵略後は、少なくとも公にはロシア・プーチン支持を唱える姿勢は陰を潜めた。ポーランドの極右でかつての政権党「法と正義」のように明確に反ロシアとなった極右もあった。

一般的には、エネルギー価格が高騰したために、ロシアとの協力を維持するべきだと政権党やEUを批判する姿勢が見られる。しかし、極右は戦争で分裂し、党の中でも分裂していると言われている。そしてロシアから極右の党や政治家、メディア工作に渡った隠れた金銭援助の暴露が相次ぐようになった。

ちなみにここで明確に「反ロシア・親EU」の姿勢をとると、極右というよりラジカル右派(中道右派と極右の間。「急進右派」とも訳される)と呼ばれる傾向が出てきたと感じている。ジョルジャ・メローニが極右と呼ばれることが減ったのは、いい例かもしれない。

そして極めつけは、第2次トランプ政権である。

今までトランプやバンスを賛美していた極右の政治家は、「グリーンランドを売らなければ、欧州の国々に関税をかける」と言われて慌てふためいた。日本人としては、EUが築いた平和によるボケもここまでひどかったのかと愕然としたものだ。

「再移住」の政策・概念は後退していない

ミラノの極右集会では、「再移住」という言葉をサルビーニのように各国極右党首たちが一様に叫んだかというと、疑問符が残ったようだ。

しかし、これは「再移住」の政策や概念が後退したことにはならない。サルビーニ副首相と「同盟」党は、既に連立政権の一翼を担っている。メローニ首相と「イタリアの同胞」党との違いを明確に出す必要がある。一方でこれから政権を狙う党は、マイルドを装ったほうが効果的な場合が多い。

オーストリアでは、2024年の総選挙で第1党になった極右政党「オーストリア自由党(FPÖ)」が「再移住」をマニフェストに掲げていた。同党は28.85%という最高スコアを獲得したが、他の党は連立を拒否した(オーストリア人の多数派の良識に安堵する出来事だった)。そうでなければ、党首のヘルベルト・キクルは首相になっていただろう。

2025年5月には、イギリスのスターマー首相すら「英国は『よそ者だらけの島』になってしまう」と述べたことが話題となった。移民政策で労働党が明らかに右傾化したことを示したのだ。

さらに、「ドイツのための選択肢(AfD)」が、まるで「大置換」を実現するかのような強制移住計画を話すための秘密会合を、前述のマルティン・ゼルナーと共に、ポツダムで行ったと暴露されたスキャンダルが2024年にあった。反対の街頭デモを含む猛批判にさらされた時、同党は「出席者は個人の資格」として逃げた。

2027年が勝負?