<ウクライナが資金難に苦しむ一方、ロシアは制裁緩和で利益を得ようとしている。複合的な危機に直面するウクライナの現実を、最新の国際情勢から読み解く>

目下、ウクライナは財政難の不安に苦しんでいる。状況は大きく動き続けているのに、同国への注目はイラン情勢のために薄れている。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「私たちの優先順位は二の次へと追いやられてしまう」と危機感を訴えている。

この1カ月、ウクライナの軍事資金がもうもたないのではないかという報道が増えた。ゼレンスキー大統領の発言も、お金に関する発言が増えているようだ。

本来なら今ごろは、欧州連合(EU)から450億ユーロの融資が受け取れているはずだった。これはアメリカの武器を買い、ドローンを増産するための重要な資金になるはずだった。

このお金は、総額900億ユーロの第1回分である。2025年末にEU首脳会議で一度は政治的に合意したものの、3月19日の採択ではハンガリーのビクトル・オルバン首相ただ一人が強硬に反対した。スロバキアは的を絞った棄権、チェコは一部離脱したが、これは法律を駆使した解決が望めるので、採択の妨げにはならなかった。ハンガリーの拒絶が事実上の拒否権となり、滞ってしまった。

漁夫の利を得るロシア

一方でロシアはと言えば、アメリカのエネルギー制裁が一時停止したことで、大きな利益を得ている。

イラン情勢で原油価格が高騰したために、トランプ政権は3月12日以前に船舶に積み込まれたロシア産原油および石油製品の4月11日までの販売を許可した。スコット・ベッセント米財務長官は「短期的な措置」「大きな経済的利益をもたらすものではない」としている。

このことについて、ゼレンスキー大統領は3月中旬のパリ訪問の際に「この緩和措置でロシアは約100億ドル得ることになるだろう」と不満を述べた。

「なぜ私たちは常に財政問題について語っているのか? そしてなぜ制裁解除にこれほど強く反応するのか? それはお金の問題だからだ」と同大統領は、仏紙『ル・モンド』の単独インタビューで答えた。

「お金とは単に戦車のことではない。そもそも、もはや戦車で戦争をする国など無い。お金とはドローンのことだ。お金とは兵士のことだ。兵士とは契約のことだ。もし(ロシアが)契約に支払う余裕がなくなれば、彼らは募兵を失い、戦力を失うことになる」と語った。

さらに「ロシアの軍隊は訓練不足であるだけではなく、規模も縮小し始めている。彼らは戦場で、集めた人数より多くの兵士を失っているのだ」とも述べている。

ウクライナの軍事資金は6月がリミット?