世界各地に設置されている中国政府が支援する中国語・文化教育機関「孔子学院(Confucius Institute=CI)」。中国の文化侵略として脅威になっているとの指摘もあり、米国では米国防権限法で孔子学院を通じた中国の影響力を抑える規制も制定されている。
孔子学院は「教育」ではなく「国家安全保障」の問題になってきたと言えるが、日中関係が緊張をはらんだ状態にある現在、中国を象徴する孔子学院は、いま日本でどのような状況で活動しているのだろうか。
孔子学院プログラムは2004年にソウルで開始された。これは、中国教育部(省)の「国家漢語国際普及事務室」(世界的にその中国語の略称である「漢弁(ハンバン)」として知られる組織)の内部で構想されたものだ。
漢弁は2020年7月に「語学教育協力センター」へと改称され、孔子学院(CI)ブランドは「中国国際教育基金会(CIEF)」という新設の団体に移管された。この改称は表面的なものに過ぎない。資金、人員選抜、提携大学の指定、カリキュラムの枠組みは引き続き中国の国家機関から提供されており、孔子学院の統治と、中国の工作機関である統一戦線工作部との重複も文書で確認されている。
CIを、ゲーテ・インスティトゥート(ドイツ)、ブリティッシュ・カウンシル(イギリス)、アリアンス・フランセーズ(フランス)、あるいはセルバンテス文化センター(スペイン)といった世界の文化機関から隔てているのは、その構造だ。こうした世界の文化機関は、受け入れ大学のキャンパスの外に位置し、透明性を持って独自にスタッフを雇用し、予算を公開し、派遣国政府の宣伝機関とは距離を置いて運営されている。
対照的に孔子学院は、受け入れ大学のキャンパス内に設置されており、中国側の提携大学・機関との協定に基づき資金や教員の提供を受けて運営されている。多くの国・大学において、その設置や運営契約の内容は十分に公開されておらず、日本でも、契約に非公開条項が含まれている例が国会審議で指摘され、文部科学省が近年になって大学側に運営や契約内容の情報公開そして透明性向上を促している。