『冒険する組織のつくりかた』

──長期的に効いてくるものだからこそ、短期的な評価軸で見ると正当に評価ができなくなってしまうんですね。

だから僕は、当事者たちが屁理屈と言い訳を駆使して説明責任を突破しながら、「評価から逃がし続ける」のが重要だと思っています。探究的な営みや、人材・組織開発の営みを実践していくと、確かにみんなが輝いていって、新しいものが生まれる予感がしてすごくワクワクするんです。でも、「これに何の意味があるの? ちゃんと評価しよう」と言った瞬間に、それは旧来のパラダイムの上の取り組みになってしまう。過渡期にあるイノベーションでは、評価基準自体を新しくしようとしているわけだから、旧来の評価基準では評価できないということがむしろ重要なはずなんです。まだ評価できないものを、どうやって評価から守って存続させるかを考えなければなりません。

旧来的な軸で評価しようとする人には、理屈をつけて何とか待ってもらって、その営みを保護し続けて、良い結果が出た段階で「言ったじゃん」と言うしかないなと。当事者の信念が必要とされる実践です。

──新しい取り組みを旧来的な評価軸から逃がすことでしかイノベーションができないんですね。

もっと言うと、評価から逃がすからといって、取り組みは何でもいいというわけではないんです。外から見ると「何の意味があるの?」「収益につながってないじゃん」と思うような取り組みでも、内部の人が共有している「説明がつかないけど、善なるもの・美しいもの」と直感的に信じられる営みを守るということが重要なんです。これはカルチャーを作るうえでも大事なことです。そうした取り組みを後押ししたくて書いている本でもあります。

晴子さんに振り向いてほしい桜木花道が……
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