イスラエルはヒズボラの壊滅を求めている
予想は、悪いほうに当たった。
レバノンにとってイスラエルの侵攻は今回が初めてではない。1982年から2000年までの占領、06年、そして24年にもガザ情勢の影響を受けて戦闘が起きている。ガザでの停戦後もイスラエルは合意に違反してレバノンの領土内の複数地点に駐留し、攻撃を断続的に続けてきた。
さらに今年2月末、イスラエルとアメリカによるイラン攻撃をきっかけに、再度激しい攻撃が始まった。3月2日にイランの支援を受けるヒズボラがイスラエル北部を攻撃すると、イスラエルはレバノンに対して空爆で反撃し、南部では地上侵攻を行っている。
今回の取材の目的地であるナバティーエ市は、イスラエル政府が退避勧告を出しているザハラニ川以南に位置する。ヒズボラの本拠地の1つでもある。
ヒズボラはレバノン議会に議席を持つ政党であると同時に、武装組織も抱える。イスラエルはヒズボラを自国の脅威と見なし、その壊滅を求めている。
そもそもレバノンとイスラエルの戦争は、パレスチナ問題とも関連する。パレスチナの土地を追われたパレスチナ難民たちの一部が武装化し、1970年代からレバノン南部に拠点を移して、国境を越えてイスラエルを攻撃した。
その後、パレスチナ武装勢力はこの地を去ったが、南部のシーア派住民の社会運動組織から、占領を続けるイスラエルへの武装闘争を求める勢力が生まれ、それがヒズボラとなった。
イスラエルの存在を否定するイラン政府は、ヒズボラに資金的な支援や軍事訓練を施した。時にイランからの指示で海外での工作活動にも従事したといわれる。
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