まだプーチンにできること
それでもプーチンにカードが残っていないわけではない。
ロシアはサイバー攻撃、政治介入、経済的圧力、核の威嚇などを通じて、NATO同盟国へのハイブリッド圧力を強めることができる。
ウクライナで攻勢を強めることもできる。ウクライナ和平をめぐる外交は停滞しており、オレシュニクのような新型極超音速兵器の使用頻度を高めて新たな攻勢に出ることも考えられる。
イラン戦争が長引く間は、密かにイランに対する支援を拡大し、米国の負担を増やす可能性もあるが、その場合、ウクライナやトランプ政権との関係改善を失うリスクがある。
これらは他国にとって深刻な脅威だが、いずれも妨害者の戦術であり、外交の議題を設定したり、圧倒的な力で望ましい変化を実現する国家の行動ではない。
イラン危機は、クレムリンが長年覆い隠してきた現実を明らかにした。ロシアは混乱を引き起こし、利益を得て、威圧し、長期化させることはできる。だが、相手を力で従わせることは次第にできなくなっている。
ウクライナに軍事資源を縛られ、石油価格の変動や米国の政策に依存し、中国との関係では劣位に立ち、欧州のエネルギー市場からも排除されつつあるロシアの国家としての実像は、ますます明瞭になっている。
プーチンは依然としてカードを持つ。しかしそれは、ゲームを支配する力ではなく、ブラフに頼る弱い手札にすぎない。