<プロのナレーターや俳優による朗読がアプリで聴ける、アマゾンのAudible(オーディブル)サービス。小説からビジネス書、落語などのエンターテインメントまでそのコンテンツは多種多彩で、通勤時間を活用して語学習得に励むビジネスパーソンも多い。外国語や文学作品に「音」で触れることの効用について、法政大学法学部教授でジャーナリストの萩谷順氏と、アマゾンジャパン オーディブル事業部の坂井啓介氏が語り合った。>
──Audible(オーディブル)が日本でサービス提供を開始してから2年が経ちます。そのコンテンツは多様なジャンルに広がり、お客様数も着実に増加していますね。
坂井 アメリカでは以前よりオーディオブックが広く普及していましたが、ちょっとした空き時間を生かせることから、本を耳で"聴く"というスタイルは忙しい日本人にもマッチするようです。語学習得に活用する20〜30代のビジネスパーソンも多く、外国語コンテンツに対するニーズが高まっていることから、最近は洋書タイトルの拡充に特に力を入れています。
萩谷 耳で音に触れることは、外国語の習得にとって非常に重要なんですよ。私が通った高校にはドイツ語の授業があったので、大学生の兄が借りてきてくれたレコード盤の教材を繰り返し聴いてABC(アーべーツェー)から徹底的に訓練したところ、ドイツ人の先生を驚かせるほどきちんとした発音ができるようになったという経験があります。
坂井 テキストで学ぶだけでは、なかなか実用的な語学力は身につきませんよね。
萩谷 人類がコミュニケーション手段として言葉を使うようになったのが30〜40万年前であるのに対し、文字ができたのはせいぜい5000年ほど前といわれています。
坂井 圧倒的な歴史の差があるんですね。
萩谷 話し手が抑揚などで感情も込めることのできる音は、より重層的なコミュニケーションを可能にします。文字には時間と空間を超えて伝えられるという音にはない特長がありますが、技術の進展で音も保存されるようになり、今やインターネットを通じて空間さえも飛び越えるようになりました。
