<公共交通の乏しい地域で、クルマを手放したら暮らしはどうなる? 来たる免許返納に備え、自身の暮らしと移動手段について考える機会が必要だ>

公共交通が充実していない地域でも、前向きに免許を返納することができ、スムーズに新しい生活へと移行できるようにならないだろうか。一人ひとりが一生涯のモビリティについて考え、街ぐるみで取り組む「モビリティ教育」が待望されている。

自動運転は万能薬ではないという現実

少しずつではあるが、バスやタクシーが苦手とする近距離の地域内移動などに、"公共交通としての自動運転サービス"が活用され始めている。

2020年には、電動カートを用いた自動運転サービス開始のいくつかの事例が、東北から沖縄にわたって報告されている。また11月からは、国内で初めて自動運転用に開発された専用車両(乗車定員11名)を定時・定路線での生活路線バスとして走らせるサービスを、茨城県境町が始めた。

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茨城県境町(筆者提供)

自動運転の研究を官民の壁を越えて進めているのがSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/自動運転(システムとサービスの拡張)だ。その研究開発計画(2021年5月26日)によると、2022年のうちに限定地域において遠隔監視のみの公共交通を実現させたいというロードマップを描いている。

一方、東京2020パラリンピックの選手村では、視覚障害のある日本代表の柔道選手に自動運転バスが接触し、欠場させる事故が発生した。公共交通として自動運転サービスを展開する上での課題も見えてきた。

公共交通としてではなく、マイカーとして自動運転車両を保有したいと思っている人も多いだろう。

SIPでは、一般道での安全運転支援の高度化、高速道路での完全自動運転(SAE[アメリカ自動車技術協会]の自動運転レベル4)の実現を、2025年を目途に掲げている。高速道路では理想とするものに近づきつつあるが、一般道ではハードルが高いようだ。また自分が運転しなくても走行してくれるようなシステムを搭載した車両の価格は、手の届く価格帯に下がるまでに多くの年月を要するだろう。

今日に生きる私たちは、生涯マイカーで移動し続けることはできない。やがて免許返納に直面すると思っていた方が現実的だ。

「フェーズに応じた移動」について考える機会
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