ただし監督の宮崎駿自身も認めているように、ラストは肩透かしというか拍子抜けの感が強い。本作に限らず宮崎の映画は、無理やりにラストで締めようとして失敗する場合が多いような気がする。ドキュメンタリーを撮ってきたからこそ、この感覚はよく分かる。どのように終わればいいのか分からなくなるのだ。

脚本を練りに練って撮影に入る実写ドラマには、その危惧はほぼない。ドキュメンタリーと実写ドラマとアニメを線上に置けば、アニメは最もドキュメンタリーからは距離があるはずなのに、宮崎は頻繁に自己破綻する印象がある。濃密過ぎる内実が表層に配置された整合性やカタルシスや予定調和を破壊してしまうのだろう。特に本作の場合、並行して宮崎が進めていたコミックの連載との微妙な関係があったのかもしれない。

ただしそうしたマイナスを差し引いても、僕と彼女が圧倒されたことは確かだ。映画とは出会うもの。不意打ちされるもの。これを実感した26歳の夏だった。

magmori210304_Nausicaa2.jpg『風の谷のナウシカ』(1984年)

監督/宮崎駿

声の出演/島本須美、辻村真人、京田尚子

<本誌2021年3月9日号掲載>

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