<米スタバが人種差別的と批判される騒動があったが、アラブ諸国では以前から「シオニスト」呼ばわりされている。レッテルを貼られ、批判を受ける企業はスタバだけではない>

今年4月、米フィラデルフィアにあるスターバックスの店舗で客と店員のあいだで小競合いが起きた。黒人客が注文まえに、トイレを使用したいと店員に求めたところ、店側がそれを拒否、両者のあいだで口論となったため、店が警察を呼び、黒人客が警察に逮捕されたのである。

黒人客は事情聴取後、すぐ釈放されたが、他の客が逮捕現場を撮影し、それをSNSに投稿したため、たちまちスターバックスは人種差別的だとの批判が拡散していった。そのため、スターバックスは、米国内の全直営店を一時閉鎖し、17万人以上の従業員に研修を行うとした。

ところが、この研修が行われるまえに、今度はカップにメキシコ人を差別する用語が書かれたとして、ふたたびスターバックス批判がSNS上で大きく取り上げられてしまう。

スターバックスが人種差別主義者かどうかをここで問うつもりはない。だが、アラブ世界ではかなり昔から同社は「シオニスト」だと批判されてきた。

シオニストとは、ここでは熱烈なイスラエル支持者の意味で用いている。したがって、イスラエルと対立するアラブ諸国では人種差別主義者と同義語になる。「シオニズムが人種主義と人種差別の一形態である」という国連総会決議は今は撤回されているが、一部アラブ人のなかではこの文言はまだ生きているのだ。

実際、アラブ諸国に住んだことのある人であれば、アラブ人からいやというほどこの種の陰謀論を聞かされたにちがいない。スターバックスは、イスラエル政府やイスラエル軍に莫大な献金をしているだとか、ユダヤ人である創業者のハワード・シュルツは熱烈なシオニストで、イスラエルから表彰されただのという話だ。これらの噂に対しスターバックスは明確に反論しており、さらに多くの噂が捏造であったこともわかっている。

ちなみにイスラエルには現在、スターバックスの店舗は存在しないが、アラブ諸国の多くにはスターバックスが展開している。この事実をもってしてもスターバックスがシオニストかどうかは微妙だが、アラブ圏で半ば事実として語られているのも事実である。

イスラエルがパレスチナ人を攻撃したり、入植地の建設を強引に推し進めたりすると、そのつどスターバックスはイスラエル製品やイスラエルに関連するものをボイコットせよ、との呼びかけがあちこちで叫ばれるのだ。

フォードやコカ・コーラも