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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

今年のスペインのビーチでは「アレ」にご用心

©️iStock - KarenHBlack

山火事、高温警報、干ばつ・・・夏になるとニュースでこれらの言葉を聞かない日はないようなスペイン。同時にニュースでよく目にするのはリゾート地の混雑の様子です。観光大国であるスペインにはこの時期になると世界中から観光客が集まってくるのですが、欧州や米国からの観光客の多くはスペインのビーチをお目当てにやってきます。夏にこんがり肌を焼きたいスペイン人と外国人たちが一気にリゾート地に押し寄せ、砂浜はビーチパラソルで埋め尽くされるのです。観光業は国の経済を支える大事な産業のため、7月8月のバケーションシーズンはまさに書き入れ時と言えるでしょう。そんな観光シーズン真っ盛りのスペインですが、今年はある生き物の存在がリゾート地で問題になっています。

 

あのクラゲが大量発生

クラゲがビーチに出現することは珍しいことではありません。子供の頃に浜に流れ着いたクラゲを拾って遊んだ記憶がある方も少なくないでしょう。ただ、現在スペインで特に異常発生し問題視されているクラゲはカツオノエボシ。電気クラゲの別名を持つクラゲで、これまでアナフィラキシーショックによる死亡者を出しているほど危険なクラゲです。

このクラゲの出現は主にスペイン北部のビーチに集中しているのですが、発見された個体数が多い場合や刺された海水浴客が出てしまった場合などは、そのビーチへの入場ができなくなってしまいます。この規制により観光客たちはクラゲの出現が多いと噂されるビーチを避けるようになってしまうため、カツオノエボシの異常発生が地元の経済に悪影響を与えていることは否定できないでしょう。すでにいくつかのビーチではカツオノエボシが原因の封鎖が行われたようです。

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©️iStock - arthurmota  

 

別名「電気クラゲ」

カツオノエボシは世界的に広く分布しているクラゲで、日本でも太平洋側でよくみられるクラゲのようです。全長は大きいもので30cm程のようですが毒をもつ触手はとても長く、中には50メートルの触手を持つカツオノエボシも見つかっています。この触手の毒は魚を麻痺させ捕食するために使われているのですが、ヒトが誤って触れてしまうと電気ショックのような激しい痛みを感じ、時に発熱や痛みから吐き気や嘔吐を伴うこともあるのです。遊泳中に気が付かず長い触手に触れてしまったり打ち上げられたカツオノエボシの触手を踏んでしまったりと、たとえ気をつけていても刺されてしまう可能性は十分にあることから現在非常に問題視されています。

  

対策は・・・

「せっかくのバケーションがカツオノエボシに刺されて台無し」なんてことにならないように海水浴場側も何かしらの手を打たなければいけません。とは言ってもクラゲの漂着を防ぐことはできないので、監視員が定期的に砂浜や海面の見回りを行うようにしているようです。日本人観光客も多く訪れるサン・セバスティアンのビーチでは監視台に旗を設置。緑色、黄色、赤色の旗を用い、そのビーチで発見されたカツオノエボシの個体数を観光客に知らせ、個体数が15体を超えた場合は遊泳禁止にするなどの規制を設けています。またメディアではカツオノエボシの危険性や刺された時の対処法などを頻繁に発信し注意を呼びかけています。

スクリーンショット 2023-08-17 午後2.57.54.png

黄色の旗が上がっている©️YouTube -Las carabelas portuguesas amenazan las playas

 

異常発生の理由

カツオノエボシが異常発生している理由についてはっきりしたことは分かっていませんが、専門家の間ではやはり気候変動が大きく関係していると言われているようです。専門家らの分析によると、今年は異常な風がスペイン北部に向かって吹き、その風がこれまで沖に生息していたカツオノエボシを海水浴客で賑わう海岸まで運んできてしまったのだとか。それに加えて大西洋の海水温の上昇が個体の増殖を助け、今回の異常発生につながったと指摘しています。また生態系のバランスの変化も無視できません。近年ウミガメなどのカツオノエボシを捕食する大型動物が減少傾向にあるようで、敵がいなくなったカツオノエボシがどんどん繁殖し海岸に流れ着いてきてしまった、ということのようです。

クラゲにもたくさん種類があるようですが、よりによって毒性の強いカツオノエボシがバケーション真っ只中のこの時期に大量発生するなんてなんとも運が悪いなぁ、と海がないスペインの内陸部から人ごとのように思う私なのでした・・・。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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