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【福音派】「ノンズ」と白人キリスト教ナショナリズムが広がるアメリカ社会

2026年2月9日(月)15時00分
印南敦史 (作家、書評家)

米国白人に最大限の利益を与える特殊な「キリスト教」

アメリカ社会全体をキリスト教的な「古き良き」価値観に立ち返らせることを目指したわけである。そして、その影響は家庭のあり方のみならず、ジェンダー観、宗教、教育、メディア、エンターテインメント・芸術、ビジネス、政府など多岐にわたる。

なるほどそう考えれば、第二次トランプ政権の極端な立ち回りも理解できる気がする。そして、それは絶望感にもつながる可能性があるだろう。福音派にとってのアメリカは「キリスト教国」であり、それは「キリスト教ナショナリズム」へとつながっていくものだからだ。

オクラホマ大学のサムエル・ペリー教授とインディアナ大学のアンドリュー・ホワイトヘッド准教授による2020年の著作『神のためにアメリカを取り戻す――合衆国におけるキリスト教ナショナリズム』によれば、「キリスト教ナショナリズムとは、神話、伝統、シンボル、物語、価値体系の集合体であり、アメリカの市民生活とキリスト教との融合を理想化し、提唱する文化的枠組みである」ということになるようだ。


 ただし、ここでいう「キリスト教」は極めて特殊だ。なぜなら、それは正統的な神学思想やキリスト教倫理などを指すのではなく、むしろ米国の白人に最大限の利益を与える伝統主義的、民族文化的、そして政治的な志向を指すからである。それに対して、カトリックでもプロテスタントでも、正統的なキリスト教は一つの民族だけを優遇せず、普遍主義的で多民族主義が前提にある。(250ページより)

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