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社会への不満はあっても政治への参画は望まない日本の若者

2026年2月4日(水)15時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
日本の若者

日本の若者も社会に対して多くの不満を抱えているが KMSfield/photoAC

<家庭でも学校でも「でしゃばるな」と頭を押さえつけて育てる人間形成の在り方をまず見直すべき>

衆院選が近いが、選挙権を行使する人の割合(投票率)がどうなるかが注目される。日本人の投票率は海外諸国と比べて低く、かつ世代間の差が大きい、という特徴がある。前回(2024年)の衆院選の投票率は53.9%だったが、年代別に見ると70歳以上は60.4%なのに対し、20代は34.6%でしかない。

豊かな国の日本において、若者は社会に不満がないかというと、そのようなことはないだろう。高い給与は期待できない、奨学金を返さないといけない、上の世代を支えるための税金をガッポリ取られる、結婚など夢のまた夢......。データを見ても、日本の20代の54.9%が「社会に不満がある」と答えている(こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」2023年)。その一方で、同じく20代の54.3%が「政策決定に参加しようとは思わない」と考えている。


上記の2つが重なると、「社会に不満はあるものの、政策決定には参加したくない」という、何とも残念な人間類型ができあがる。日本の20代の何%がこれに該当するか。上記調査の個票データでクロス集計をして浮かび上がらせると、<図1>のようになる。

newsweekjp20260204014940.png

「社会に不満がある」と「政策決定に参加したくない」の割合を、正方形の面積で表現している。2つの図形が重なった緑色が、両方に当てはまる人だ。日本の20代の32.6%、3人に1人が「社会に不満はあるものの、政策決定には参加したくない」と考えている。この数値は、アメリカ(20.3%)、ドイツ(18.8%)、フランス(28.5%)、スウェーデン(21.0%)という、他の調査参加国よりも高くなっている。

図の緑色が広がるのは怖いことだ。腹の底のマグマが良からぬ方向に向かう可能性が高い。その兆候は出てきており、国民全体の自殺者が減る中、若者の自殺者は増加傾向にあり、金目当てで「闇バイト」に加担する者も後を絶たない。数年前には、若者による電車内での無差別殺傷事件が続発した(小田急線、京王線事件)。

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