最新記事
韓国大統領選

韓国大統領選の事前投票、歴代2位を記録 「中国人探し」など差別行為や管理トラブルも続出

2025年6月2日(月)11時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
期日前投票を行うイ・ジェミョン候補

大統領選をリードするイ・ジェミョン候補が事前投票を行った。この後この投票所ではとんでもないトラブルが…… Yonhap REUTERS

<「不正選挙監視」を名目に中国系住民を標的とした差別的行為が発生するなどのトラブルが......>

第21代韓国大統領選挙の事前投票が2日間の日程を終了し、初日の投票率が19.6%と過去最高を記録、最終投票率は34.74%を記録した。これは前回大統領選挙(36.9%)より2.19ポイント低いものの、事前投票制度導入以来歴代2番目に高い投票率となった。

韓国メディアの報道によると全体有権者4,439万人余りのうち1,542万人余りが事前投票に参加した。地域別では全羅南道(56.50%)が最も高く、全羅北道(53.01%)、光州(52.12%)が続いた。一方、大邱(25.63%)が最も低く、釜山(30.37%)、慶尚北道(31.52%)などが下位を記録した。首都圏ではソウル34.28%、京畿32.88%、仁川32.79%だった。

相次ぐ管理トラブルが社会問題化

しかし、事前投票期間中にさまざまなトラブルが発生し大きな論争を巻き起こすこととなった。一番問題とされたのが排外的な「中国人探し」議論だ。

事前投票2日目の先月30日昼12時頃、ソウル市東部クァンジン区のある住民センター。黒いジャージ姿の30代の男性が投票所の出入り口の前を注視していた。彼は「中国人のような人々が来るのか気になって個人的に確認中」と話した。同様の行動は他の地域でも見られた。ヨンドゥンポ区内の投票所では、不正選挙の監視を主張する人々が、一部の有権者に声をかけ、韓国語の能力を確認して中国人を探しだす行動が問題となった。

SNSやネットの掲示板では「中国人が投票に参加している」という主張と共に事実関係が不確実な映像と掲示物が急速に広がっていた。特に中国企業バイトダンスが運営するTikTokの中国版アプリである「ドウイン」で投票用紙を手に持ったまま撮影した場面、投票所内部とおぼしき場所で撮影された映像などが中国人投票主張の根拠として使われている。

あるX(旧ツイッター)ユーザーは投票用紙の写真とドウインアカウント画面を共に掲載し「中国人と疑われる者が投票用紙を撮影してアップしている。(外国人が投票するのは)違法であることを知りながらも掲載する状況は深刻な問題」という主張を展開した。また別のユーザーは「中国人が投票所をライブ放送している」として「なぜしきりに事前投票をしろと言うのか」として強い不信を表わした。

このような投稿には「事前投票場を監視しに行こう」「中国人を捜し出そう」というようなコメントが列をなした。一部の利用者は有権者に声をかけ「韓国語能力をテストしたり、外見などをチェックして中国人かどうかを推定して撮影しよう」という主張まで出していた。

食と健康
消費者も販売員も健康に...「安全で美味しい」冷凍食品を届け続けて半世紀、その歩みと「オンリーワンの強み」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アンソロピック企業価値1830億ドル、直近の資金調

ビジネス

米財務長官、次期FRB議長候補の面接を5日開始=W

ワールド

米政府、TSMCの中国向け製造装置輸出巡る特別措置

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ249ドル安 トランプ関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    トランプ関税2審も違法判断、 「自爆災害」とクルー…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中