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平和構築

「苦しみは比べられない」シリアから逃れてきた若者に日本の同世代はどう見えているのか?

2025年1月10日(金)11時30分
※JICAトピックスより転載

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JICAの米作りの研修を受けたウガンダ難民居住区の農民たち

紛争によって失われる社会とのつながり

世良 そもそもなぜ紛争は起こるのですか。

大井 例えば、社会の中での不平等や差別、貧困、政府の機能不全、政府や行政への不満、武装グループの影響などが原因に挙げられます。紛争によって若者が教育や仕事の機会、家族や社会とのつながりも失ってしまう。こうした点はサンカクシャさんの関わる日本の若者とも共通するのではないでしょうか。

早川 そうですね。日本国内で若者が孤立する背景は虐待、貧困などさまざまですが、それらは幼少期の体験や教育、立ち直りの機会を奪います。結果的にしっかりとした情報にアクセスできないために、SNSを通じて貧困ビジネスなどにつながってしまうこともあります。

大井 そうした状況が紛争地の若者にも起きています。例えばJICAが支援している西アフリカのサヘル地域でも、仕事やお金のない若者が武装グループに入ってしまうことがあります。

世良 お話を聞いていると世界の難民と日本の若者に共通する部分があるのですね。どうやってそれを終わらせることができるのか、課題ですね。

大井 まさにそれが平和構築の取り組みです。解決するのは非常に難しい問題ですが、社会における不平等や差別、貧困、政府や行政機関に対する不満といった紛争のリスクを減らしていく取り組みが必要です。例えば、アフリカのブルキナファソという国で、紛争で両親を失くしたある青年が、身寄りもなく一時は武装勢力に参加しそうになっていたのですが、JICAが提供する職業訓練に参加し、そこで学んだ技術のおかげで仕事と収入を得て、住民とのつながりもでき、社会の中で自立した生活ができるようになったという例があります。

難民や若者の未来のための「エンパワメント」

世良 早川さんは日本の若者にどういった支援をしていますか。

早川 団体としては「住まい」「仕事」「居場所」の3点の支援ですが、私は「居場所」のサポートをしています。「サンカクシャ」という名前は社会参画に由来し、若者が社会に参画していけるために活動しています。

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NPO法人サンカクシャが開設した「サンカクキチ」。生活や就労に困難を抱える若者の自立をサポートする拠点だ

伊藤 サポートだけではなく、本人が社会に参画していくことが大事ですね。

早川 そうですね。「支援する側」と「される側」という関わりよりも、お互いに信頼感を持って関わりたいと思っています。

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