最新記事
SNS

ブラジルに続く?...「X」即時停止命令は他国にも広がるのか EU高官は「禁止もあり得る」と警告

Could Brazil's X Ban Spread to Other Countries?

2024年9月3日(火)18時33分
マリー・ボラン
ブラジル国旗とXのロゴ

rafapress-shutterstock

<イーロン・マスクとブラジル当局の数カ月にわたる緊張状態の末、ブラジル全域で「禁止」されることになったX(旧ツイッター)。各国で規制が進むが、停止命令を出す国は出てくるのか──>

ブラジルの最高裁判所は8月30日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に対し、同国内でのサービスを即時停止するよう命じた。こうした禁止措置が他の国、とりわけアメリカと欧州でも取られる可能性はあるのだろうか。

ブラジル最高裁は電気通信事業を規制する政府機関に対して、2億1200万人が住むブラジル全域でXをシャットダウンするよう命じた。Xが裁判所命令違反を繰り返し、ヘイトスピーチと偽情報を拡散させたことを理由として挙げている。

停止命令は8月31日に実施されたが、その日に至るまでの数カ月間、Xを所有するイーロン・マスクとブラジル当局の間では、コンテンツモデレーション(投稿コンテンツの監視・排除)の取り組みを巡って緊張が高まっていた。

ブラジル最高裁は停止命令解除の条件として、Xがすべての法規定に従うこと、未払い分の罰金を支払うこと、ブラジルでの法定代理人を任命することを挙げた。

ブラジル国内でXにアクセスした人はすべて、VPN接続であっても1日当たり5万レアル(約130万円)の罰金が科せられる可能性がある。本誌はXにメールでコメントを求めている。

「自由の国」アメリカではどうなるか?

一方、アメリカでは合衆国憲法修正第1条で言論の自由が強力に保護されている。とはいえ、ソーシャルメディア運営企業だからといって、規制を完全に免れられるわけではない。

例えば、Xは2023年9月、ソーシャルメディア・プラットフォームに対するコンテンツモデレーション取り組みの公開を義務付けたカリフォルニア州法が、言論の自由を侵害するとして訴訟を起こしたが、同年12月に訴えを退けられた。

カリフォルニア州法は、相応の年間売上高があるソーシャルメディア運営企業に対し、コンテンツモデレーションへの取り組みを詳細に記した報告書を半期ごとに提出するよう義務付けている。

報告書には、好ましくない投稿数とそれらに講じた措置について、データを明記しなければならない。カリフォルニア州連邦地方裁判所判事ウィリアム・シャブは、Xが同法を凍結するよう求めた訴えを退け、次のように述べた。

「報告義務は、ソーシャルメディア運営企業にかなりのコンプライアンス負担を強いるように思われるが、合衆国憲法修正第1条の文脈においては、この報告義務が不当である、あるいは過度の負担になるとは考えられない」

ただし、部分的であろうとなかろうと、ソーシャルメディアがブロックされる可能性がまったくないとは言えない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中