最新記事
注目ニュースを動画で解説

10代の逮捕者続出....若者を惑わす「密入国ビジネス」組織の手口とは?【アニメで解説】

2024年6月20日(木)13時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
密入国ビジネス

Newsweek Japan-YouTube

<10代が巻き込まれる「密入国ビジネス」について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

アメリカで「人間の密輸」に加担するティーンエイジャーが急増している。

若者たちはスナップチャットなどソーシャルメディアの広告から、軽い気持ちで犯罪組織の「求人」に応募。カネのために不法入国者を運んだり、かくまったりしている──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「10代を誘惑する「密入国ビジネス」の実態...「稼げる」「身バレしない」に騙され逮捕される若者たち【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

◇ ◇ ◇

密入国は、文書偽造から福祉の不正受給、ギャング活動、金融詐欺、テロリズムまで、あらゆる犯罪の入り口と言われており、密入国への対応はバイデン政権の抱える課題の1つだ。

テキサス州公衆安全局が本誌に示したデータによると、今年1月には密入国の補助容疑で数百人が逮捕されている。年齢層は幅広く、1960年代から2008年生まれまでいた。

newsweekjp_20240619085135.jpg

メキシコとの国境に近いアリゾナ州南東部のコーチス郡のブライアン・マッキンタイア検事は、密入国ビジネスに関わる若者が増加している理由として、画像・動画投稿アプリ「スナップチャット」などソーシャルメディアに表示される広告の影響を挙げる。

広告の中には、大量の札束を映し出し、所定の場所まで密入国者を運ぶだけで簡単にカネが手に入る、と若者を引き付けようとするものもある。

newsweekjp_20240619090018.jpg

「密入国者1人をできるだけ早く、途中で捕まらずに(アリゾナ州の)フェニックスまで車で運ぶことに成功した場合、1500ドルのカネを受け取れると言われればそのリスクをいとわない人は多い」とマッキンタイアは語る。

密入国ビジネスを手掛ける犯罪組織は、密入国を望む人に「1人あたり6000~8000ドル」(メキシコから入国する場合)という条件を提示する。密入国者は料金の一部を前払いし、残りは借金としてアメリカ入国後に返済していく。

newsweekjp_20240619090443.jpg

犯罪組織はSNSや暗号化されたアプリが「匿名であるという感覚」に付け込んで応募者を募るが、このような感覚は「偽り」である。

犯罪組織は「法執行機関は自分たちのやりとりを見ることはできない」と説明するが、現在は法執行機関が自由に使えるツールがあって、本当の意味の匿名性は存在しない、とアリゾナ州の国土安全保障調査部(HSI)のレイ・リード特別捜査官補は説明する。

newsweekjp_20240619091438.jpg

国境を巡る問題について議会で証言したこともあるコーチス郡のマーク・ダネルズ保安官は、若者は「貪欲さや未熟さ」で犯罪に巻き込まれているという。

移民関税執行局には、匿名での情報提供を受け付ける電話番号も存在する。リードによれば、不安を覚えた両親から提供された情報などが有効活用されている。

newsweekjp_20240619091940.jpg


■より詳しい内容については動画をご覧ください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、対ウクライナ25億ドル追加支援発表 ゼ

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中