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ウクライナ軍、大規模攻撃でバフムト周辺で前進 ゼレンスキー「待望のニュース」、プリゴジン「失策でロシア軍さらに撤退も」

2023年6月6日(火)11時42分
ロイター
燃える装甲車が様子

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、定例のビデオ演説で、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトとその周辺で戦っている部隊からの「待ち望んでいたニュース」を歓迎した。1日撮影(2023年 ロイター/Vladislav Culiomza)

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、定例のビデオ演説で、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトとその周辺で戦っている部隊からの「待ち望んでいたニュース」を歓迎した。

シルスキー陸軍司令官はこれより先、バフムト周辺でウクライナ軍が前進を続けていると述べた。

ゼレンスキー大統領は「今日、私たちが待ち望んでいたニュースを与えてくれた兵士ら全員に感謝している。バフムト方面の兵士のみなさん、素晴らしい」と語った。それ以上の詳細には言及しなかった。

ロシアは5月、バフムトを掌握したと主張したが、ウクライナ側は一部地域をまだ維持しているとして、ロシアの完全掌握を否定した。

ゼレンスキー氏は、ロシアがウクライナ軍の行動に「ヒステリックに」反応していると述べ「巧みに、断固として、効果的にわれわれの陣地を守り、占領者を破壊し前進している」と2部隊に言及した。

プリゴジン「このままでは2週間以内にさらなる撤退も」

ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は5日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトの北方にあるベルキフカの一部をウクライナ軍が奪還したと明らかにした。また、ロシア正規軍の戦術では2週間以内にさらなる撤退を迫られると述べた。

ベルキフカはバフムトの北西約3キロメートルの距離に位置。プリゴジン氏は自身のプレスサービスが公開した音声メッセージで「ベルキフカの集落の一部が失われた。軍隊は静かに逃げている。恥ずべきことだ」と述べた。

ドネツク州の親ロシア派支配地域を率いるデニス・プシリン氏はロシア国営テレビに対し、状況は「コントロール下にある」としながらも「極めて困難」との認識を示した。

ワグネルは先月、バフムトのほぼ全域をウクライナ軍との長い戦闘の末に掌握し、陣地をロシア正規軍に明け渡した。以来、ウクライナ軍は同市の北側と南側を攻撃し続けている。

プリゴジン氏は5日にテレグラムに投稿されたインタビューで、ロシア国防省の戦術は国民と政府指導者を騙していると発言。バフムト周辺でのウクライナの動きは「われわれの前進よりもはるかに速く起こり得る」とし、「国防省の目的は全てが順調で、ロシア軍が前進しているように装うことだが、現実には今起きていることが2週間後に戦術的に大きな敗北をもたらすだろう」と警告した。

プリゴジン氏はまた、ロシア軍がドネツク周辺の最近の戦闘でウクライナ軍に大きな損失をもたらしたとする国防省の主張について、「ばかげたサイエンスフィクション(SF)にすぎない」と懐疑的な見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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