最新記事

中国

コロナとロックダウン「再襲来」に、爆発寸前の中国の「不満」が政府に向かう

China's Virus Crisis

2022年3月25日(金)12時00分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)
北京の大規模検査センター

北京の大規模検査センターで順番を待つ市民(3月15日) KEVIN FRAYER/GETTY IMAGES

<オミクロン株の急拡大で、再びロックダウンを行う都市が増加。対策のほころびへの不満が政府を揺さぶる可能性も>

中国が2020年の第1波以来、最悪の新型コロナ感染拡大に直面している。今回の流行は猛スピードで拡大するオミクロン株が主流で、多くは無症状のため、感染経路の追跡は困難だ。本格的なエピデミック(局所的流行)にはならないとしても、既に社会に影響が出ている。

香港に隣接する南東部の経済中心地、深圳はロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。上海では学校や企業が臨時休業になり、北京や天津でも数多くの施設が閉鎖されている。

中国では既に計5000万人以上がロックダウン下にある。今後数週間、膨れ上がる新規感染者数と共に、封鎖を行う都市は増え続けそうだ。

新たな感染拡大に、一般市民は驚きと不満を示している。大きな不安が渦巻くなか、連帯感が芽生えた第1波当時とは対照的なムードだ。

厳格な新型コロナ対策に加えて、経済減速や検閲強化にさらされる中国社会の善意はすり減っている。ロックダウン中の市民からは、調整不足や突然の隔離命令に対する苦情の声も上がる。

感染力の強いオミクロンであっても、20年に武漢で成功したように、新たな大流行を抑え込むことはまだ可能だ。中国のロックダウンは徹底的で、大規模検査も積極的に実施している。

220329p38_cvc02.jpg

ロックダウン中の吉林省長春の検査会場 COSTFOTO-FUTURE PUBLISHING/GETTY IMAGES

ぞっとするような「隔離」体制

だが今回は乗り切っても、負担の大きい「感染拡大再発とロックダウンのサイクル」に再びはまる恐れは消えない。科学者らは出口戦略の策定をほのめかしているが、中国がゼロコロナ政策と手を切る道は今のところ見えない。

中国の中央集権型の隔離体制は、新型コロナ対策の要点とはいえ、ぞっとするようなものでもある。アメリカ出身の実業家、カール・セッツァーは20年後半に検査で陽性結果が出た後、隔離用の病院などに50日以上、強制的に収容された体験を発表している。

さらに、複数のSNS上での私的な発信から判断すると、隔離現場では汚職がはびこっているようだ。コネのある宿泊施設や配達会社、ケータリング企業が事実上の独占状態を謳歌している。

香港の現状は、中国にとって悪夢のシナリオと言える。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、イランに「文明消滅」警告 改めて期限内

ワールド

トルコのイスラエル総領事館前で銃撃戦、 犯人1人死

ワールド

高市首相「年を越えて石油確保」、補正考えず 予算成

ビジネス

UBS、2026年のS&P500指数目標引き下げ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 8
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 9
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 10
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中