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核軍拡

世界に核戦争をもたらすのは中国かアメリカか

China Says U.S. Bringing World Closer to Nuclear War After U.S. Military Report

2021年11月8日(月)10時36分
トム・オコナー

汪文斌はまた、アメリカはロシアとの間で結んだ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約、中距離核戦力(INF)全廃条約から脱退し、これらの条約で禁止されていた新たなプラットフォームの開発を行っていると指摘。これこそが、国際的な戦略的安定性を損なう動きだと批判した。

一方中国は、軍縮分野において、長年アメリカやロシアとは異なる独自の立場を貫いてきた。こうした条約に縛られた経験がなく、条約への参加を繰り返し拒んできた。それによって人民解放軍は、かなりの数の中距離ミサイルシステムを蓄えることができてきた。

汪文斌は、オーストラリア、イギリスとアメリカが9月に、太平洋に重点を置いた安全保障上の新たな枠組みAukus(オーカス)を形成したことについても非難した。

「アメリカによるこれらの動きは、世界の戦略的安定性、および国際平和と安全保障を大きく損なうものだ」と彼は述べ、さらにこう続けた。「中国はアメリカに対して、核軍縮を行う上での特別かつ一義的な責任に真剣に向き合い、核備蓄を検証可能かつ不可逆的で法的拘束力のある方法で抜本的に削減し、世界の戦略的均衡と安定を支持するよう促す」

そして彼は、中国の核兵器は増えているものの、アメリカに比べればはるかに少なく、目的はあくまで自己防衛だと改めて強調した。

「中国に対して核兵器を使用しない限り、いかなる国も、中国の核兵器の脅威にさらされることはないだろう」

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