最新記事

医療従事者支援

コロナ被害者のために100歳が断食しながら寄付金調達

2020年5月21日(木)19時00分
松丸さとみ

ラマダン中に、自宅の庭を500往復目指す100歳のダビラル・チョードリーさん  Rupty-YouTube

<相次いで100歳の老人が新型コロナウイルスの医療従事者を支援や犠牲者のために寄付金集めの「チャレンジ」を行っていることが話題になっている...>

同じ100歳の退役軍人に刺激され

4月に、英国の国営医療サービスNHS(国民保健サービス)や医療従事者を支援するための寄付金集めに、自宅の庭を100往復する「チャレンジ」を行い話題になった、100歳の退役軍人トム・ムーアさんを知っている人は多いだろう(チャレンジ開始当時は99歳。4月30日に100歳を迎えた)。同じ英国で、また別の100歳が新型コロナウイルスの犠牲者のために「チャレンジ」を行っていることが話題になっている。これまでに17万ポンド(2200万円)以上を調達した。

寄付金集めのチャレンジを行っているのは、ロンドン郊外セント・オーバンス在住のダビラル・チョードリーさんだ。チャレンジを始めたきっかけは、自宅の庭を100往復して40億円以上を調達したムーアさんを見て刺激を受けたことだった。自分もコロナウイルスの犠牲者や、貧困で苦しむ人たちのために資金を集めたいと思ったという。

そのため、チョードリーさんの挑戦も、庭を歩くことだ。自宅そばにある幅80メートルの共同庭を歩き続けている。当初の目標は100周だったのだが、チョードリーさんの息子、アティーク・チョードリーさんがロシア系映像通信社のラプリーに話したところによると、当初目指していた調達額をすぐに突破してしまったため、目標を500周に引き上げたという。ラプリーがインタビューした時点(映像の公開は5月8日)では、すでに350周を完歩していた。

チョードリーさんが挑戦を始めたのは、4月26日。始めて8時間もしないうちに、当初の目標だった1000ポンド以上の寄付が集まった。8日後には6万ポンドに達したという。5月21日現在では、17万ポンド以上集まっている。

「気分が良くなる」とラマダン終了まで続行予定

チョードリーさんはイスラム教徒であるため、現在はラマダン月の断食中だ。今年のラマダンは4月23日に始まり、5月23日に終了する。この間、日の出から日没までは、飲み物も食べ物も口にしない。そのためチョードリーさんの挑戦も、「断食ウォーク」となる。

チョードリーさんはラプリーの映像の中で、「走れば走るほど、気分が良くなる。神のご加護だ」と話している。このままラマダンが終わるまで、断食しながらチャレンジを続行し、寄付金を集めるつもりだという。

息子のアティークさんはBBCロンドンに対し、チョードリーさんがチャレンジを始めたばかりの頃はゆっくりした歩みだったが、どんどんペースを上げ、今は1日30周ほど歩いていると話した。歩き続けたがるチョードリーさんを止めるのに家族は苦労している、とアティークさんは胸の内を明かした。チョードリーさんが歩く姿は、杖などもついておらず元気そのものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール航空機、乱気流で緊急着陸 乗客1人死亡

ビジネス

アストラゼネカ、30年までに売上高800億ドル 2

ビジネス

正のインフレ率での賃金・物価上昇、政策余地広がる=

ビジネス

IMF、英国の総選挙前減税に警鐘 成長予想は引き上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル写真」が拡散、高校生ばなれした「美しさ」だと話題に

  • 4

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 5

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 6

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 7

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 8

    中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──…

  • 9

    「韓国は詐欺大国」の事情とは

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中