最新記事

核兵器

トランプ「炎と怒り」はトルーマンの原爆投下演説に似ている

2017年8月9日(水)19時09分
グレッグ・プライス

北朝鮮は「炎と怒り」に直面することになる、と警告したトランプ米大統領(8月8日) Jonathan Ernst-REUTERS

<広島に原爆を落とした日のトルーマン演説と今のトランプの脅しが似ている不気味さ>

ドナルド・トランプ米大統領は8月8日、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に対し、これまでで最も直接的で痛烈な言葉で警告した。

具体的な攻撃や核兵器の使用にこそ言及しなかったものの、使用した言葉は、1945年8月6日に広島に原爆を投下したことを世界に向けて発表した時のハリー・トルーマン元米大統領の言葉を不気味に思い起こさせた。

【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(前編)

「北朝鮮にとって最善の策は、これ以上アメリカを脅さないことだ」とトランプは米ニュージャージー州にある自分のゴルフ場で記者団に語った。「彼(北朝鮮の金正恩党委員長)の脅しは常軌を逸している。北朝鮮は世界が目にしたことのないような炎と怒りに直面するだろう」

トランプはその日、国連安保理が8月5日に北朝鮮に対する追加制裁決議をロシアと中国も含め全会一致で採択したことを、ツイッターで称賛したばかりだった。「長年にわたる失敗を経て、ようやく世界の国々が一致して北朝鮮による脅威に対抗し始めた。我々は強く、決断力を持たねばならない」

これまでで最も強い言葉

そのトランプが「炎と怒り」発言を行ったのは、安保理決議に反発した北朝鮮が激しい言葉でアメリカを非難したのに対抗したものだろう。

【原爆投下】原爆投下に対するアメリカ人の見方に変化が

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、「多数の残忍な狼たちが、我が国を圧殺する攻撃に出ようとしている」という声明を発表した。「我が国が軍事行動を伴う戦略的手段を取る時は、国家の戦力を総動員し無慈悲に実行するということを肝に銘じるべきだ」

米紙ワシントン・ポストの報道もあった。北朝鮮は弾道ミサイルに搭載可能な小型核爆弾を有している、というものだ。

【原爆投下】パックンが広島で考えたこと

これまでもトランプは北朝鮮を繰り返し罵り、北朝鮮が7月に行った2度の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験などを止められなかった中国を非難してきた。

だが今回ほど語気を強めたことは、ない。その激しさは、アメリカが日本に初めて原爆を投下した後にトルーマンが発表した声明を彷彿とさせるものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

2日に3兆円超規模の円買い介入の可能性、7日当預予

ワールド

OECD、英成長率予想引き下げ 来年はG7中最下位

ビジネス

海運マースク、第1四半期利益が予想上回る 通期予想

ビジネス

アングル:中国EC大手シーイン、有名ブランド誘致で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中