最新記事

北朝鮮

軍事でも外交でもない、北朝鮮問題「第3の解決策」

2017年7月15日(土)11時00分
ウィリアム・トビー(米ハーバード大学ベルファー科学・国際関係研究所上級研究員)

巨大スクリーンに映し出されたICBMの発射実験に歓声を上げる北朝鮮の人々 KCNA-REUTERS

<北朝鮮が核を保有した今、金正恩に時間は味方しない。徹底した「封じ込め」で体制崩壊を待つべきだ>

北朝鮮問題には「いい解決策」が存在しないという見解は、今では定説化している。だが、この説は正しくない。軍事・経済面で圧倒的に不利なのは北朝鮮のほうだ。長期的にみて、彼らが勝者になる公算は小さい。

北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威が、質量共に新たな段階に入ったことは確かだ。だが日米韓の3カ国には、その脅威に対処し、北朝鮮の大規模な攻撃を防ぐ能力が十分にある。

アメリカと同盟国に全面戦争を仕掛ければ、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の体制は恐らく崩壊する。北朝鮮にとって体制維持は最大の戦略目標だから、全面戦争を思いとどまらせることは可能だ。

また、北朝鮮問題には軍事的解決策がないという説もよく耳にする。あまりに犠牲が大き過ぎるというのだ。

軍事的選択肢がない以上、外交解決を図るしかないと断言する向きも少なくないが、この説の妥当性は疑わしい。少なくともこれまでは完全な誤りだった。

父ブッシュからオバマまで、4人のアメリカ大統領が外交努力に注力したが、ことごとく失敗した。北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)、92年の南北非核化共同宣言、同年のIAEA(国際原子力機関)との保障措置協定、94年の米朝枠組み合意、05年の6カ国協議の共同声明、12年の米朝合意を全て踏みにじった。

北朝鮮は12年の憲法修正で、自国を核保有国と明記した。現体制が存続する限り、交渉による非核化は期待できない。

【参考記事】ICBMはミサイル防衛システムで迎撃できない

持久戦なら北朝鮮が不利

軍事も外交も駄目なら、選択肢はもうないのか。「圧倒的な反撃の脅威」によって、北朝鮮に大規模攻撃を思いとどまらせることは可能だ。少なくとも過去60年間はそうだった。

さらに豊かな韓国との経済格差の拡大によって、いずれ現体制は変化を余儀なくされるはずだ。北朝鮮の崩壊を何十年待っても実現しなかったという反論もあるが、80年代のソ連についても同じことが言われていた。

持久戦になって苦しいのは北朝鮮だ。アメリカや同盟国ではない。その一方で、将来の北による攻撃または攻撃の可能性に備えて、具体的な対策をいくつか進めていく必要がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECBが金利据え置き、ドル安を静観 インフレ見通し

ビジネス

英中銀が金利据え置き決定、5対4の僅差 今後利下げ

ビジネス

米新規失業保険申請件数は2.2万件増の23.1万件

ビジネス

ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 8
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 9
    習近平の軍幹部めった斬りがもたらすこと
  • 10
    日本経済低迷の主因である「空洞化」をなぜ総選挙で…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    日本はすでに世界有数の移民受け入れ国...実は開放的…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中