最新記事

シリア内戦

ロシア「アメリカは事実上のテロ支援国家」

2016年9月30日(金)19時18分
デイミアン・シャルコフ

Darren Ornitz-REUTERS

<2週間前に停戦が破られてから、アレッポでは無差別攻撃が激化しているが、米ロは口喧嘩が止められない> 写真は先週、シリア紛争解決のため国連安保理で会談したラブロフ(左)とケリー 

 シリア内戦をめぐってアメリカとの対立姿勢を強めるロシアは、アメリカが「事実上テロリストを支援している」と非難した。

 ジョン・ケリー米国務長官はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と28日に行なった電話会談で、ロシア側がアレッポでの戦闘を止めて停戦を守らなければ米ロの2国間協議を打ち切ると通告した。

 またシリアのバシャル・アサド政権を支持するロシアがシリアで民間人を含めた無差別攻撃を続ければ、かえって反政府勢力への支持が強まり「ロシアの資産や、場合によってはロシア本土」を狙う攻撃を企てさせる結果を招くと言った。

 これに憤ったのが、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官だ。

 彼はケリーの発言の翌日、ロシア国営のイタル・タス通信に、「アメリカ側の言い分は言語道断」と語った。「シリアでテロリストと戦う我々を公然と脅迫したようなもの。オバマ政権は事実上テロリストを支援しているとしか言いようがない」

 2週間前に停戦が破られてから、アレッポへの無差別攻撃は激しさを増している。1週間で200人以上が命を落としたという報告もある。人権団体アムネスティ・インターナショナルはこれを無差別攻撃ではなく「意図的な絶滅作戦」と呼ぶ。

 このまま米ロの対立が続けば、文字通り最後の1人まで殺されることになりかねない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米アトランタ連銀総裁、インフレ進展停滞なら利上げに

ワールド

多国間開発銀の改革計画、10月G20会合で議論=ブ

ビジネス

ソニー、米パラマウント買収交渉に参加か アポロと協

ビジネス

ネットフリックス、1─3月加入者が大幅増 売上高見
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中